近年、南紀地方のほとんどの漁港でアカエイが異常に増え、「巣窟化」しているという声が多く聞かれます。
しかし、昔はこんなにいなかったはず。
いったいなぜアカエイが港内に定着するようになったのでしょうか?
ここでは、その理由を環境・生態・人為的要因の観点から解説します。
✅ アカエイとはどんな魚?
・軟骨魚類(エイ類)で、底生性(海底で生活)
・雑食性で、ゴカイや貝類、小魚などを食べる
・夜行性で、日中は港の底などで静かにしていることが多い
✅ 昔より増えた理由とは?
① 外敵(天敵)が減少した
・アカエイの天敵にはサメ類や大型回遊魚(ブリ、カンパチ、クエなど)がいます。
・しかし、沿岸漁業の衰退や環境変化で、これら大型魚の個体数が減少。
・結果的に、アカエイが天敵の少ない港内で安全に繁殖・定着できるように。
② 港湾内の水温上昇と越冬化
・アカエイは水温15℃以下になると活動が鈍る魚ですが、
・近年の海水温上昇(いわゆる温暖化現象)により、冬でも港内が冷えにくくなっています。
・そのため、本来は南方系の魚だったアカエイが、南紀の港内で年中過ごせる環境に。
③ 捕食対象(エサ)が豊富
・漁港内では、魚の内臓や廃棄物、釣り餌、死んだ魚などが落ちていることが多く、
・アカエイにとってはまさに“エサ場”状態。
・特に夜間には浅瀬に上がってきて、底を這うように食い漁ります。
④ 港内の構造がエイに適している
・港内は波が静かで、底が泥・砂地が多い
・これはアカエイにとって非常に居心地が良く、身を隠したり、産卵するにも最適な環境
・昔よりも港の整備が進み、「自然の磯」よりも「エイ向けの人工海底」が増えたことも関係
⑤ 駆除されない、狙われない魚である
・アカエイは毒針を持ち、釣れても敬遠される存在
・また、市場価値が低く、漁師からも相手にされにくいため、
・人間の手による抑制が効いていない=野放し状態になっている
✅ アカエイが増えることで何が起きる?
・アジやイワシの群れを追い払う
・ウキ釣りやヤエン釣りの仕掛けを横取り
・ときにはアオリイカの産卵床周辺に居座ることも
・岸近くで**毒針による刺傷事故(海水浴場での事例もあり)**が発生する危険性も
✅ まとめ|「アカエイの巣窟化」は人間と自然の“バランス崩壊”の象徴
アカエイが南紀の港内で増え続けている理由は、
✔ 天敵の減少
✔ 海水温の上昇
✔ 港湾構造の変化
✔ エサの豊富さ
✔ 駆除・消費されにくい存在
これらが複合的に絡んで、「巣」として定着してしまっているのです。
今後は、安全対策(刺傷予防)や釣果への影響、港内生態系の崩壊リスクを踏まえた対応も求められそうです。


