それは、獲物を逃さないために特化した「ヤスリ状の細かい歯」の集まりです。
獲物をがっちりホールドする「鑢(やすり)状歯」
カンパチの顎(あご)の縁や口蓋(口の天井部分)を触ると、ザラザラとした感触があります。
これは数え切れないほどの小さな突起が密集したもので、吸い込んだアジやイワシなどのベイトフィッシュが暴れても、滑り落ちないための強力なスパイクの役割を果たしています。
一度噛みつかれたら最後、このザラザラが獲物の体に食い込み、喉の奥へと確実に送り届ける仕組みです。
指を怪我するほどの強力なグリップ力
「牙がないから大丈夫」と油断して素手を口に入れるのは非常に危険です。
カンパチは非常に顎の力が強く、このヤスリ状の歯で指を挟まれると、細かい傷が無数について出血することもあります。
特に大型のカンパチ(シオ)を釣り上げた際は、必ずフィッシュグリップを使用し、安全に配慮して針を外すようにしましょう。
ルアーの塗装をも削り取る攻撃性
カンパチがルアーにアタックした際、ボディに細かな擦り傷がつくことがありますが、これもこのヤスリ状の歯によるものです。
噛みちぎるのではなく「削り、押し潰す」ような捕食スタイルが、ルアーの塗装をボロボロにするほどの衝撃を生み出します。
この荒々しい捕食こそが、アングラーを魅了してやまないカンパチのパワーの源とも言えるでしょう。

