まず大前提として、
「アオリイカが1日の7割を海底付近にいる」という数字そのものを直接示した公的な定量研究は、今回確認できませんでした。
ただし、アオリイカの仲間であるSepioteuthis lessonianaについては、
昼はより深い場所やカバーの近くへ寄り、夜は浅場で活発になるという説明が複数の資料で確認できます。
なので、釣り人の感覚としての
「まず底から探る」
はかなり理にかなっています。
なぜ海底付近にいるのか
1. 待ち伏せしやすいから
アオリイカは、ただ泳ぎ回るだけの生き物ではありません。
岩礁、藻場、沈み根、砂地の変化など、何か変化のある場所を使って獲物を狙います。
FAO系の資料でも、アオリイカはサンゴ礁、岩礁、海藻場、浅い砂地周辺に見られ、
主な餌は甲殻類や魚とされています。
つまり、ベイトやエビが集まりやすい海底変化の近くにいるほうが、捕食効率がいいわけです。
2. 身を隠しやすいから
アオリイカは非常に視覚依存の強い生き物です。
同時に、自分も見られています。
研究では、周囲の基質に合わせて体色や模様を変える能力が確認されています。
海底付近の藻、岩、砂の明暗に溶け込めるなら、
獲物に気付かれにくく、天敵にも見つかりにくい。
底付近にいること自体が、かなり強い防御と攻撃の両立になっています。
3. 昼は「浮くより隠れる」ほうが安全だから
アオリイカは夜のほうが活発で、
昼はより深い場所や、流木、岩、礁、海草などのカバー近くへ移るとされています。
逆に夜は浅場に上がり、活発に動きます。
これを釣り人目線で言えば、
昼は底寄り、朝夕まずめから夜は浮きやすい
という考え方になります。
日中にボトム中心の釣りが強い理由は、ここにあります。
4. 潮の影響を受けにくく、体力を温存しやすいから
表層は風や潮の影響を受けやすく、
見た目以上に流されています。
一方で底付近は、地形変化の裏やヨレを使えば、体力を使いすぎずに居やすい場所があります。
アオリイカは成長が速く、短い寿命の中で餌をしっかり取る必要がある生き物です。
だからこそ、無駄に泳ぎ続けるより、
居やすい場所で待つ
という行動がかなり合理的です。
5. 産卵や藻場とのつながりが強いから
アオリイカは沿岸の藻場や浅い静かな場所を産卵場として使います。
産卵そのものだけでなく、
その周辺には小魚や甲殻類も集まりやすいです。
つまり海底付近、とくに藻場周辺は、
隠れ場であり、餌場であり、季節によっては産卵関連の行動が起きる場所でもあります。
春イカで藻場周りが強いのは偶然ではありません。
エギングでどう生かすか
エギングでは、
まず底を取る。
これがやはり基本です。
底を取らずに中層だけ引いていると、
一番確率の高いレンジを外してしまうことがあります。
特に日中、澄み潮、プレッシャーが高い場面では、
アオリイカが浮きにくく、底の変化やストラクチャーの横に付いていることが多いです。
実戦では、
着底。
2回から3回しゃくる。
少しテンションを掛けてフォール。
また底を取り直す。
この繰り返しが強いです。
つまりエギを泳がせるより、
底から少し上を何度も通す
イメージのほうが当たりやすいです。
ヤエンでどう生かすか
ヤエンは活きアジが勝手に泳ぐ釣りに見えますが、
実際はどの層を泳がせるかがかなり大事です。
アオリイカが底寄りなら、
アジも底から離しすぎないほうが見つけられやすいです。
特に昼間や潮が澄んでいる時は、
中層をフワフワ流すより、
底から1m前後を意識したほうが反応が出やすい場面があります。
逆に、夕まずめ、夜、常夜灯周り、ベイトが浮いている状況では、
アオリイカも浮きやすいので、底べったりに固定しすぎると逆に外すことがあります。
ヤエンは
昼は低め、夜はやや上も見る
で考えるとズレにくいです。
ウキ釣りでどう生かすか
ウキ釣りは棚設定が命です。
アオリイカが底寄りにいるなら、
当然ながらアジも底寄りを通さないといけません。
ただし、完全にベタ底で根掛かり連発では釣りになりません。
だから実戦では、
底を基準にして少し上を流す
のが基本です。
反応がないなら、
50cmずつ刻んで棚を下げる。
あるいは少し上げる。
この調整で答えが出ることが多いです。
アオリイカは底にいることが多いとはいえ、
底に刺さって動かないわけではありません。
底の少し上を回っている個体も多いからです。
釣り人向けの結論
アオリイカが「1日の7割を底にいる」という表現は、
厳密な科学定量というより、釣り現場の経験則としてかなり筋が通っている。
これが結論です。
昼は深め、底寄り、カバー寄り。
夜は浅場や中層にも出やすい。
この大きな流れを押さえるだけで、
エギングも、ヤエンも、ウキ釣りもかなり組み立てやすくなります。
要約
アオリイカが海底付近にいることが多い理由は、
待ち伏せしやすい。
身を隠しやすい。
昼は浮くより安全。
潮をかわして体力を温存しやすい。
藻場や産卵場と結びつきが強い。
この5つです。
なので釣りでは、
まず底から。
これが今でも一番強い考え方です。
エギングなら底取りとフォール。
ヤエンとウキ釣りなら棚を下げ気味に入る。
これを基本にして、
朝夕や夜だけ少し上を意識する。
この組み立てが、いちばん実戦的です。

