楽しい釣りの帰り際、竿を片付けようとしたら…
「あれ? 戻らない?」
「節(ふし)が固まって、ビクともしない!」
こんな経験、ありませんか。
無理やり押し込もうとして手を怪我したり、最悪の場合、竿をボキッと折ってしまう…。
実はこれ、釣り人なら誰もが一度は通る道、「固着(こちゃく)」という現象です。
写真のような振り出し竿(テレスコピック)で特によく起こります。
焦って力任せにするのが一番危険。
今回は、ビクともしない竿を安全に元に戻すための「正しい対処法」と、絶対にやってはいけない「NG行為」について解説します。
1. なぜ竿は固まってしまうのか?
原因は主に3つあります。
-
塩噛み(しおがみ): 海水が乾いて、塩の結晶が接着剤のように隙間に入り込んでしまうこと。これが一番多い原因です。
-
砂やゴミの侵入: 継ぎ目の隙間に微細な砂が入り込み、摩擦でロックされてしまう状態。ジャリッという音がしたらこれです。
-
力の入れすぎ: 根掛かりを外そうとして強くしゃくったり、伸ばす時に勢いよく出しすぎたりすると、摩擦熱と圧力で噛み込んでしまいます。
2. 【レベル別】固着の直し方
竿が戻らなくなったら、以下の順番で試してください。
レベル1:ゴムシートで「滑り止め作戦」
素手でやろうとすると滑って力が逃げてしまいます。
ロッドベルトの裏面(ゴム面)や、キッチン用のゴム手袋を使って、継ぎ目の上下をしっかり掴みます。
雑巾を絞るように、「ねじりながら」押し込んでみてください。 軽度の固着なら、これで「パキッ」と外れます。
レベル2:トントン叩く「振動作戦」
ねじってもダメな時は、振動を与えます。
-
固着している部分の上側(細い方)を持ちます。
-
下側(太い方)の尻栓を外し、平らな木片やゴム板などを地面に置きます。
-
竿を垂直に持ち、トントンとリズミカルに木片に打ち付けます。
※注意! 絶対にコンクリートの地面に直接叩きつけないでください。竿尻が割れます。 また、ガイド(糸を通す輪)を持って叩くと、ガイドが破損します。必ず「ブランクス(竿の棒の部分)」を持ってください。
レベル3:お湯で温める「膨張作戦」
塩噛みがひどい場合は、温めて塩を溶かしつつ、外側の節を膨張させます。
-
固着している部分(外側の太い方)を、ドライヤーや熱めのお湯(タオルに染み込ませる)で温めます。
-
外側が温まって膨張した瞬間に、レベル1の「ねじり込み」を行います。
※注意! 直火(ライターなど)は厳禁です。カーボンや樹脂が溶けて、再起不能になります。
3. 絶対にやってはいけない「NG行為」
焦るあまり、これをやって竿を壊す人が後を絶ちません。
-
× プライヤーで掴んで回す: 金属の工具で直接竿を掴むと、薄いカーボン繊維は簡単に割れます。どうしても使う場合は、分厚いゴムシートの上から、力加減に細心の注意を払って使ってください(非推奨です)。
-
× ガイドを無理やり叩く: ガイドリングやフレームが歪んだり、割れたりします。
-
× 友達と二人で引っ張り合う: 勢い余って手が滑り、竿が飛んでいったり、急に外れて怪我をする恐れがあります。
4. それでもダメなら「プロに任せる」
上記の方法を試してもダメな場合、あるいは「折れそうで怖い」という場合は、無理せず釣太郎にお持ちください。
釣具店には「固着外しの専用ラバー」などの道具がありますし、熟練のスタッフが力加減を見極めて対応します。
(※状態によってはメーカー修理になる場合もあります)
まとめ:予防は「真水」に限る
固着の一番の予防策は、釣行後のメンテナンスです。
特に海水で使った後は、必ずシャワー(ぬるま湯がベスト)で竿を伸ばしたまま洗い、塩分を流してください。
そして、完全に乾燥させてから縮めること。
さらに、「ボナンザ」などのフッ素コーティング剤を塗っておくと、滑りが良くなり、固着のリスクが激減します。
道具を大切にすれば、いざという時のトラブルも減り、釣果も上がりますよ。

