1. なぜボラは「ガッカリ」されるのか?
ウキが勢いよく沈み、竿が大きく曲がる。
「来た!これはデカいぞ!」と心躍らせてリールを巻く。
しかし、海面に姿を現したのは、銀色に光る丸太のような魚体。 「あちゃー、ボラか…」 堤防でよく見かける、落胆のシーンです。
ボラが嫌われる理由はいくつかあります。
一つは、その「どこにでもいる」という図太さ。
本命のチヌ(クロダイ)やグレを狙って撒き餌を打つと、真っ先に集まってきてエサをさらっていく貪欲さ。
そして、釣り上げた時の独特の「ぬめり」や、場所によっては泥臭いというイメージが先行しているからでしょう。
仕掛けをぐちゃぐちゃにされることもあり、初心者さんには少し厄介な存在かもしれません。
2. 実は最高の「練習パートナー」
でも、ちょっと待ってください。
ボラをただの邪魔者扱いするのは、あまりにももったいない。 実はボラこそ、海釣り入門者にとって「最高の師匠」になり得るのです。
まず、その「引き」の強さは一級品です。 同じ大きさなら、チヌ以上に引くことさえあります。
強烈な突っ込みに耐え、竿の弾力を活かして魚を浮かせ、タモ(網)に入れる。
この一連の動作(やり取り)を練習するのに、ボラほど最適な相手はいません。
ボラをスムーズに取り込めるようになれば、いつか本命の大物が掛かった時も、決して慌てることはないでしょう。
彼らは体を張って、私たちに釣りの基礎を教えてくれているのです。
3. 南紀の寒ボラは「絶品」である
「ボラは臭い」というのは、あくまで水質の悪い都市部の港湾での話。
ここ和歌山・南紀の黒潮が洗う綺麗な海で育ったボラは、全くの別物です。
特に冬場の「寒ボラ」は、全身に脂が乗り、マダイも顔負けの美味しさを誇ります。
刺身にすれば、甘みのある脂が口の中でとろけます。
洗いにすれば、コリコリとした食感がたまりません。
そして何より、ボラの卵巣は高級珍味「カラスミ」の原料です。
「外道だから」とリリースする前に、冬の南紀で釣れたボラなら、ぜひ一度持ち帰って食べてみてください。
その味を知れば、次からは「ボラが釣れた!」とガッツポーズしたくなるはずです。
4. 海の状況を教えてくれるサイン
ボラが水面をジャンプしているのを見たことがありますか。
あれは、魚についた寄生虫を落とすためとも、酸素を取り込むためとも言われていますが、釣り人にとっては「生命感」の証です。
ボラが元気に泳ぎ回っている場所は、潮が動いていたり、プランクトンが豊富だったりと、魚にとって居心地が良い場所であることが多いのです。
「ボラがいるところには、本命もいる」 そうポジティブに捉えれば、あの太い魚影も頼もしく見えてきませんか。
まとめ:ボラを制する者は、海釣りを制す
嫌われがちだけど、引きは強く、冬は美味しく、釣りの練習にもなる。
そんなボラは、私たち釣り人にとって「切っても切れない永遠のライバル」であり、同時に「親友」のような存在です。
もし次回の釣行でボラが掛かったら、舌打ちせずに「遊んでくれてありがとう」と心の中で呟いてみてください。
きっと、今までとは違う釣りの楽しさが見えてくるはずですよ。

