皆様、海の中で「動く岩」を見たことはありませんか?
もし見かけても、絶対に素手で触ってはいけません。
その岩の正体は、海の危険な美食家「オコゼ(オニオコゼ)」かもしれません。
今回、画像を頂いたこの個体も、背中に海藻やゴミをまとって、完全に海底の岩になりきっていますね。
見た目は正直、グロテスクです。
ゴツゴツとした岩のような体表、不機嫌そうな受け口、そして何より恐ろしい毒針。
しかし、魚の世界には**「不細工な魚ほど美味い」**という格言があります。
オコゼはその筆頭格。
「夏のフグ」とも称されるその味は、一度食べたら忘れられないほどの衝撃を与えてくれます。
今回は、見た目と味のギャップ日本一、オコゼの生態から、泣くほど痛い毒の話、そして極上の食味までを徹底解説します。
1.「オコゼ」という名の由来と、完璧すぎる擬態
まず、このインパクトのある名前。
由来は古語の「醜い」を意味する言葉から来ていると言われています。
顔が怖い、醜い、という意味で、昔から人々に恐れられていた(あるいは愛されていた?)ことが分かります。
彼らの特技は「擬態(カモフラージュ)」です。
頂いた写真のように、彼らは自分の体に藻や泥を付着させ、周りの景色と同化します。
じっと動かずに獲物を待ち伏せ、小魚が近づいてきた瞬間に、あの大きな口で一瞬にして丸呑みにするのです。
泳ぎは苦手ですが、待つことに関しては天才的です。
2.釣り人最大の恐怖!「刺されると泣く」は本当か?
オコゼを語る上で避けて通れないのが、背びれにある強力な「毒」です。
はっきり言います。
刺されると、大人の男性でも泣くほど痛いです。
患部は腫れ上がり、激痛が数時間から数日続くこともあります。
釣り上げた時、オコゼは威嚇して背びれを全開に立ててきます。
「死んだふり」をすることもあるので、動かないからといって油断して触るのは厳禁です。
もし万が一刺された場合は、すぐに棘を取り除き、火傷しない程度のお湯(45度〜50度くらい)に患部を浸してください。
オコゼの毒はタンパク質性なので、熱に弱く、分解されて痛みが和らぐと言われています。 (※あくまで応急処置です。速やかに病院へ行きましょう。)
3.命がけで食べる価値がある!「夏のフグ」の実力
そんな危険を冒してでも、人間がオコゼを求める理由。
それは、圧倒的な美味しさがあるからです。
見た目からは想像もつかないほど、その身は純白で美しいです。
【食感】 フグのように強い弾力(プリプリ感)があります。 噛みしめると押し返してくるような歯ごたえは、他の白身魚とは一線を画します。
【味わい】 非常に上品で、深みのある甘みがあります。 脂もしつこくなく、サラッとしているのに旨味が濃厚。 「フグより旨い」と断言する食通も少なくありません。
4.オコゼを味わい尽くす!おすすめ料理
高級料亭でしか見かけないオコゼですが、もし手に入ったら以下の食べ方がおすすめです。
1.薄造り(刺身) フグ刺しのように、透き通るほど薄く切ります。 もみじおろしとポン酢で頂けば、日本酒が止まらなくなります。 弾力が強すぎて、厚く切ると噛み切れないほどです。
2.唐揚げ オコゼの定番です。 身はフワフワ、骨はカリカリ。 二度揚げすれば、あの恐ろしい頭や背骨まで、スナック感覚でバリバリ食べられます。 熱を通すことで毒の成分も分解されるので、安心感もありますね。
3.アラ汁(味噌汁) 良い出汁が出ます。 皮のゼラチン質が溶け出し、濃厚でトロトロの味噌汁になります。 胃袋や肝も絶品なので、捨てるところがほとんどありません。
まとめ:見かけによらない、海の宝石
オコゼは、南紀の岩礁帯や砂泥底にも生息しています。
カサゴ狙いの外道として釣れることもありますが、これは「大当たり」です。
ハサミやメゴチバサミを使って、慎重に針を外してください。
背びれの棘さえハサミで切り落としてしまえば、あとは極上の食材です。
「うわ、気持ち悪い魚が釣れた…」
とリリースするのは、本当にもったいない!
そのグロテスクな皮一枚めくれば、そこには宝石のような白身が待っています。
釣太郎では、オコゼのような危険な魚の扱いについてもアドバイス可能です。
もし釣れたら、細心の注意を払って持ち込み、その「ギャップ萌え」な味を堪能してください。

