魚は水中で自由自在に動き回ります。
ものすごいスピードで泳いだかと思えば、ピタッと止まることもあります。
車や自転車にはブレーキがありますが、魚にはありません。
では、一体どうやってコントロールしているのでしょうか。
その秘密は、魚の体に付いている「ヒレ」と「浮袋」の使い分けにあります。
それぞれの動作の仕組みを解説します。
1. どうやって止まるの?(ブレーキ)
魚が急停止できるのは「胸ビレ」のおかげです。
エラの後ろにある、人間でいう腕にあたる部分のヒレです。
止まりたい時、魚はこの胸ビレを左右に大きく広げます。
水の抵抗をあえて受けることで、ブレーキをかけているのです。
水槽の魚を観察していると、止まる瞬間に胸ビレをパタパタと前に突き出すような動きをするのが分かります。
ルアー釣りなどで、魚がルアーの後ろでピタッと止まることがありますが、
あの一瞬、魚は胸ビレで懸命にブレーキをかけています。
2. どうやって進むの?(アクセル)
推進力のメインエンジンは「尾ビレ」です。
尾ビレを左右に振ることで水を後ろに蹴り、その反動で前に進みます。
また、魚の体の側面にある筋肉も重要です。
体をくねらせることで、全身を使って水を押し出しています。
マグロのような高速回遊魚は、この尾ビレと筋肉が非常に発達しています。
3. どうやって方向を変えるの?(ハンドル)
右や左に曲がる時は、全てのヒレを総動員します。
特に重要なのは「胸ビレ」と「腹ビレ」、そして「背ビレ」です。
片方の胸ビレだけを動かしたり、背ビレを舵(かじ)のように傾けたりして方向を変えます。
尾ビレも推進力だけでなく、方向転換の際にも使われます。
これらを複雑に組み合わせることで、水中での小回りを実現しています。
4. どうやって上や下に動くの?(エレベーター)
上下の移動には「浮袋(うきぶくろ)」を使います。
浮袋の中のガスの量を調整し、浮力を変えることで、浮いたり沈んだりします。
風船の空気を出し入れするイメージです。
ただし、ガスの調整には少し時間がかかります。
サメやカツオなど、一部の魚には浮袋がありません(または未発達です)。
彼らは泳ぎ続けることで揚力を発生させ、飛行機のように浮いています。
そのため、泳ぐのを止めると沈んでしまいます。
まとめ
魚はヒレを器用に使い分けることで、水中のあらゆる動きをコントロールしています。
胸ビレ=ブレーキ&ハンドル
尾ビレ=エンジン
浮袋=浮力調整
釣りをしている時、魚がどのヒレを動かしているか観察してみてください。
「胸ビレを動かしているから、今はホバリング(停止)してエサを見ているな」
「尾ビレに力が入ったから、逃げるぞ」
魚の次の動作が、少しだけ予測できるようになるかもしれません。

