「新鮮な魚は目が澄んでいて、お腹が硬い」。
これは鮮度を見分ける基本中の基本ですが、釣り場やスーパーで
「目はきれいなのに、エラの色が悪い」とか「ツヤツヤしているのに、お腹だけ柔らかい」
という魚に出会ったことはありませんか?
結論から言うと、この4つの指標(目・体表・エラ・腹)は、どれか一つだけで鮮度を100%
保証するものではありません。
実は、保存環境や魚の処理方法によって、これらのサインは「バラバラ」に出ることがあるのです。
今回は、どこを一番信用すべきなのかという「重要度の配分」と、一部だけが良い・
悪い時の「例外パターン」について解説します。
鮮度チェックの「配分(ウエイト)」はこれだ
4つのポイントは全て重要ですが、プロが重要視する「信頼度」には差があります。
あくまで目安ですが、以下のような配分でチェックすると失敗が少なくなります。
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【重要度:40%】腹の張り(内臓の状態) 最も誤魔化しが効かない場所です。 魚は内臓(胃袋の内容物)から腐敗(自己消化)が始まります。 表面がいくら綺麗でも、お腹がブヨブヨなら、身の劣化が進んでいる可能性大です。
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【重要度:30%】エラの色 細菌が最も繁殖しやすい場所です。 鮮紅色は新鮮な証拠ですが、茶色やドス黒く変色していれば、酸素不足や腐敗のサイン。 ここは「臭い」とセットで確認します。
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【重要度:20%】体表のツヤ・色 ウロコがしっかり付いているか、虹色に光っているか。 扱いが雑だとウロコが剥げますが、これは「鮮度」というより「扱い(ダメージ)」の指標に近いです。
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【重要度:10%】目の潤い 意外かもしれませんが、目は「環境」に左右されやすいため、信頼度は少し低めに見積もります(理由は後述します)。
「目だけ悪い」「ツヤだけ良い」の正体
質問にあった「ツヤだけ、エラだけ良い(悪い)」という現象は、実際に起こります。
代表的な「チグハグな状態」の理由を知っておきましょう。
1. 「目は白濁しているが、鮮度は抜群」のケース
これは**「氷焼け(こおりやけ)」**と呼ばれる現象です。
釣り場で、魚の目に氷や保冷剤が直接当たった状態で冷やされると、眼球の表面だけが凍傷を起こして白く濁ります。
見た目は「死んだ魚の目」ですが、身はキンキンに冷やされており、鮮度(SSランク)は
保たれていることが多いです。
(※ただし、全体的に窪んでいる場合は、単なる乾燥・劣化です)
2. 「体はピカピカだが、お腹がドロドロ」のケース
これは**「胃の内容物が多かった」**場合に起きます。
釣り上げた直後でも、餌を大量に食べた直後の魚は、胃の中の消化酵素が猛烈に働き、
内側からお腹を溶かしてしまいます。
外見のツヤに騙されて買うと、捌いた時に身移りした強烈な臭いに驚くことになります。
だからこそ、見た目だけでなく「腹の硬さ」の確認が最優先なのです。
3. 「エラは赤いが、身が緩い」のケース
これは**「野締め(のじめ)」**でよく見られます。
活締めや血抜きをせず、窒息死してそのまま冷やされた場合、血液は赤いまま残りますが、
暴れたストレスで身のエネルギー(ATP)は空っぽです。
見た目の血色は良くても、食べると旨味が薄く、食感が悪いという「見かけ倒し」の状態です。
100%を見抜くための「ラストピース」
「目・体・エラ・腹」を見て、それでも迷った時。 最後の1ピースを埋めるのは、やはり**「臭い」**です。
エラブタを持ち上げた時や、お腹を軽く押した時に、磯の香り以外の「酸っぱい臭い」や
「生ゴミのような腐敗臭」が少しでもしたら、他の全ての条件が良くてもアウトです。
人間の嗅覚は、腐敗に対して非常に敏感にできています。
目で見て、指で触って、最後に鼻で嗅ぐ。 この「五感のフルコース」こそが、真の目利きです。
まとめ:総合点で見極めよう
「目だけ」「ツヤだけ」を見る一点突破型の判断は、リスクがあります。
4つのポイントを総合的に見て、さらに「氷焼けかな?」
「餌を食ってるかな?」と想像力を働かせることが大切です。
もちろん、釣った直後の魚であれば、これら全ての項目が満点(100%)です。

