はじめに:そのグレ、まだ「冷えていない」かもしれません
冬の磯釣りの主役、寒グレ。
冷たい海で育ったその身は、包丁を入れるとラードのような脂がべっとりと付くほどです。
しかし、この極上の脂こそが、実は鮮度落ちを早める原因にもなります。
脂は酸化しやすく、体温が残っているとすぐに味が劣化してしまうからです。
多くの釣り人がやりがちな「クーラーボックスに魚を入れて、上から氷を乗せる」だけの方法。
実はこれでは、グレの芯まで冷えるのに数時間かかってしまい、その間に旨味が逃げています。
プロが実践する「海水氷」との決定的な違いを見ていきましょう。
1. 「普通の氷」だけでは冷えない理由
コンビニや釣具店で買ったブロック氷やバラ氷を、魚の上にパラパラと乗せる方法。
これを「空冷(くうれい)」に近い状態と呼びます。
- 空気の壁が邪魔をする
氷と魚の間には隙間があり、そこには空気が存在します。
空気は熱を伝えにくいため、氷が接している部分しか冷えません。
- 冷却ムラができる
氷に触れている部分は「氷焼け」して細胞が壊れ、触れていない部分は「生ぬるい」ままです。
これでは、せっかくの脂が全体に行き渡る前に変質してしまいます。
2. 「海水氷」が最強である科学的理由
海水氷とは、氷に海水を注ぎ、ドロドロのシャーベット状にしたものです。
これを「水冷(すいれい)」と呼びます。
普通の氷とは比較にならないほどの冷却力を持っています。
- 冷却速度が約20倍早い
液体は気体(空気)よりも熱伝導率が圧倒的に高いため、魚の体温を一瞬で奪います。
サウナから水風呂に入ると一瞬で体が冷えるのと同じ原理です。
- マイナス温度で締める
海水は塩分を含んでいるため、0度では凍らず、マイナス1度~2度という「氷点下の液体」になります。
このキンキンの液体が、魚の表面だけでなくエラの中や内臓まで包み込み、瞬時に芯まで冷やし込みます。
3. ただし注意!グレには「時間制限」がある
ここが最も重要なポイントです。
「じゃあ、ずっと海水氷に漬けておけばいいの?」というと、グレの場合はNOです。
アジなどの青物は漬けっぱなしでも良いですが、繊細な白身魚であるグレは、長時間漬けると以下のリスクがあります。
-
目が白くなる(白濁)
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塩分が入ってしょっぱくなる
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身が水を吸って水っぽくなる
【寒グレの正解ルート】
- 海水氷で「即冷」する(15分~30分)
釣れたらすぐに海水氷にドボン。
魚の大きさにもよりますが、芯まで冷えるまで漬け込みます。
- 水から引き上げる
魚が冷え切ったら取り出します。
- 袋に入れて保存
水分を拭き取り、ビニール袋に入れて、今度は「普通の氷」の上に置きます。
この「海水氷で急冷」→「空冷で保存」のハイブリッド方式こそが、寒グレを最強に美味しく持ち帰る秘訣です。
4. 比較まとめ:どれくらい違うの?
| 項目 | 普通の氷(空冷) | 海水氷(水冷) |
| 冷却速度 | 遅い(数時間かかる) | 爆速(数十分) |
| 冷却ムラ | あり(氷焼けのリスク) | なし(均一に冷える) |
| 魚への密着度 | 点で接する | 全面を包み込む |
| おすすめ | 帰宅時の保冷用 | 釣った直後の急冷用 |
まとめ
寒グレの美味しさを決めるのは、高い竿でもリールでもなく、**「最初の30分の冷やし方」**です。
釣り場に着いたら、仕掛けを作る前にまずは「海水氷」を作りましょう。
このひと手間だけで、刺身の歯ごたえと脂の甘みが劇的に変わります。
釣太郎みなべ店では、海水氷を作るのに最適なバラ氷はもちろん、そのままクーラーに入れるだけで
使える**「調整済み海水氷(1kg 200円~)」**も販売しております。
「現場で海水を入れるのが面倒」「塩分濃度の調整が難しい」という方に大好評です。
最高の寒グレを、最高の状態で味わってください。

