【はじめに】冬の巨イカは「しゃぶしゃぶ」で化ける
冬の南紀で釣れるキロアップのアオリイカ。
刺身で食べると、その分厚い身は「モチモチ」として非常に美味しいですが、どうしても少し硬さを感じることがあります。
しかし、この「厚み」こそが、しゃぶしゃぶにするための最大の武器です。
熱湯にサッとくぐらせるだけで、身は驚くほど柔らかくなり、生の状態よりも強い甘みを感じられるようになります。
今夜の食卓を料亭に変える、極上のイカしゃぶメソッドを解説します。
1. 命は「切り方」にあり!薄く広く削ぐべし
イカしゃぶの成否は、包丁を入れる瞬間に決まります。
ただの薄切りではダメです。
出汁をよく絡ませ、瞬時に熱を通すための切り方があります。
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薄皮(アマミカワ)を完璧に取り除く 皮を剥いだ後、身に残る薄い膜もキッチンペーパーで綺麗に拭き取ります。 これが残っていると、熱を通した時に口当たりが悪くなります。
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「削ぎ切り(そぎぎり)」にする 包丁を寝かせ、身の断面が広くなるように薄くスライスします。 表面積を広げることで、瞬時にお湯の熱が伝わり、甘みが活性化します。 厚さは3mm〜5mm程度がベスト。 薄すぎると食感がなくなり、厚すぎると火が通りません。
2. 出汁(だし)はシンプルイズベスト、隠し味は「ゲソ」
イカ自体の味が繊細なので、濃い味付けの出汁はNGです。
素材の味を引き立てる、シンプルな昆布出汁をおすすめします。
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基本の出汁 水に昆布を入れ、沸騰直前に昆布を取り出します。 そこに日本酒を少々加えればベースは完成です。
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釣り人の裏技 ここで、食べきれない「ゲソ(足)」や「エンペラ(耳)」を先に出汁に入れて煮込んでしまいます。 イカから極上の出汁が出て、しゃぶしゃぶする身の旨味を底上げしてくれます。
3. ソースは「ポン酢+◯◯」で決まり
酸味のあるポン酢が基本ですが、薬味でアクセントを加えます。
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もみじおろし(大根おろし+唐辛子) 冬の定番。ピリッとした辛味がイカの甘みを引き締めます。
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柚子胡椒(ゆずこしょう) 爽やかな香りが、濃厚なイカの風味とベストマッチ。
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肝醤油(キモしょうゆ)※新鮮な場合のみ 釣ってすぐの新鮮なイカなら、肝を溶いた醤油を少し垂らすのも濃厚で最高です。
4. 厳守すべき「3秒ルール」
準備ができたら、いざ実食です。 ここで最も重要なのが加熱時間です。
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「しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ」で3回 箸で身を持ち、お湯の中で3回泳がせる程度(約3秒〜5秒)が黄金タイムです。
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白くなったら引き上げ時 身の表面がうっすらと白くなり、チリチリと縮み始めた瞬間が食べごろ。 中はまだ半透明の「レア状態」を目指してください。 外はプリッ、中はトロッ。 この食感のコントラストこそが、冬イカしゃぶの醍醐味です。
まとめ:〆(シメ)まで楽しむのが釣り人の流儀
イカの旨味がたっぷりと溶け出した出汁は、捨ててはいけません。
最後は雑炊か、うどんを入れて「イカ出汁の旨味」を余すことなく堪能してください。
体も温まり、冬の釣行の疲れも吹き飛びます。
次回の釣行で大型が釣れたら、迷わず「しゃぶしゃぶ」をお試しください。
その美味しさに、きっと冬の寒さを忘れて海へ通いたくなるはずです。

