「寒ブリ」のように、冬の魚といえばたっぷり乗った脂が魅力です。
では、冬に旬を迎える大型のアオリイカも、やはり脂が乗っているのでしょうか。
実は、イカの体脂肪率は年間を通してほぼ一定(約1〜2%)で、いくら寒くても脂身は増えません。
それなのに、なぜ冬のアオリイカはあんなにもねっとりと甘く、美味しいのでしょうか。
そこには、脂ではなく「アミノ酸」と「肉厚」という2つの秘密が隠されています。
そもそもイカは「脂」を貯めないアスリート
魚が冬に脂を貯め込むのは、冷たい水温から身を守るための断熱材や、エサが少ない冬を越すためのエネルギー備蓄としてです。
一方、アオリイカなどの頭足類は、筋肉の塊のような生き物です。
彼らは脂質ではなく、筋肉中の遊離アミノ酸を旨味の成分として持っています。
つまり、マグロの大トロのような「脂の甘み」ではなく、**筋肉そのものが持つ「身の甘み」**で勝負しているのです。
冬イカが美味しい理由1「甘み成分の増大」
脂が増えないなら、なぜ冬のイカは美味しいのか。
最大の理由は**「遊離アミノ酸(グリシン、アラニン、プロリン)」**の含有量です。
これらの成分は、アオリイカ特有の強い「甘み」と「旨味」の正体です。
成長して体が大きくなる冬から春にかけて、筋肉量が増えるとともに、これらの旨味成分も絶対量が増加します。
「脂っこい」のではなく「濃厚に甘い」のが、冬イカの特徴です。
冬イカが美味しい理由2「肉厚による食感の変化」
秋の新子(コロッケサイズ)は柔らかく瑞々しいのが特徴ですが、冬のキロアップサイズは身が分厚くなります。
この「肉厚さ」が、味の感じ方を劇的に変えます。
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咀嚼(そしゃく)回数が増える: 身が厚い分、よく噛むことになります。 噛めば噛むほど細胞が壊れ、中に閉じ込められた甘み成分が口いっぱいに広がります。
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ねっとり感: 大型個体は、噛んだ時の反発力とその後のねっとり感が段違いです。 これが「冬のイカは味が濃い」と感じさせる要因です。
冬のデカイカを最高に美味しく食べるコツ
大型のアオリイカは、身が硬いと感じる方もいるかもしれません。
そこで重要なのが**「寝かせ(熟成)」**です。
釣った直後のコリコリ感も良いですが、大型ほど冷蔵庫で2〜3日寝かせてください。
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酵素の働き: 自身の酵素で筋肉の繊維が分解され、柔らかくなります。 同時に、タンパク質が分解されてアミノ酸(旨味)が増幅します。
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飾り包丁: 表面に格子状の切れ目を入れることで、醤油が絡みやすくなり、甘みをより強く感じられます。
まとめ:脂ではなく「筋肉の甘み」を味わおう
「冬の魚は脂で食べる」。
「冬のイカは筋肉(アミノ酸)で食べる」。
この違いを知っておくと、味わい方が変わります。
寒風吹きすさぶ中、エギングやヤエンで粘って獲った一杯。
その価値あるアオリイカは、脂はなくとも、最高級の「甘み」を蓄えています。
ぜひ、冬ならではの濃厚な味わいを楽しんでください。

