冬の海といえば、コリコリとした食感がたまらない「ナマコ」の季節です。
見た目は少しグロテスクですが、酢の物にすると最高のおつまみになります。
しかし、普段私たちが食べているこのナマコ、一体どのような生物なのかご存知でしょうか。
実は「夏は溶けて消える?」「内臓を吐き出す?」など、驚きの生態を持っています。
今回は、意外と知らないナマコの生態と、なぜお隣の中国で「黒いダイヤ」と呼ばれるほど
高値で取引されるのか、その秘密に迫ります。
1. ナマコの意外すぎる生態:目も耳もない最強の生存戦略
ナマコは「棘皮(きょくひ)動物」の一種で、ウニやヒトデの仲間です。
脳も心臓も目も鼻もありませんが、数億年前から姿を変えずに生き残ってきた「生きた化石」でもあります。
その生態には、驚くべき特徴がいくつもあります。
① 夏は眠り、冬に活動する
ナマコが美味しくなるのは冬です。
これは、ナマコが水温の高い夏場には活動を停止し、岩陰などでじっとして「夏眠(かみん)」をするからです。
夏の間は餌を食べず、体も小さく縮こまっています。
そして水温が下がる冬になると活発に動き出し、餌をたくさん食べて太るため、冬がもっとも美味しくなるのです。
② 驚異の再生能力
ナマコは敵に襲われると、肛門から自分の内臓を吐き出してオトリにする習性があります。
これを「吐出(としゅつ)」と呼びます。
驚くべきは、吐き出した内臓は数ヶ月で再生し、元通りになることです。
また、体を半分に切断されても、それぞれの断片が再生して2匹になる種類さえいます。
この凄まじい生命力が、後述する中国での人気にも繋がっています。
③ 海の掃除屋
ナマコは海底の砂や泥を大量に飲み込み、そこに含まれる有機物(プランクトンの死骸など)を栄養として摂取しています。
そして、きれいになった砂を排出します。
ナマコがいる海は、海底の汚れが浄化されるため、豊かな海の環境を守る「海の掃除屋」として重要な役割を果たしているのです。
2. なぜ中国でナマコは高級なのか?
日本では「酒の肴」のイメージが強いナマコですが、中国では全く扱いが異なります。
乾燥ナマコは高級食材として、時には1キロ数万円〜数十万円で取引されることもあります。
なぜこれほどまでに重宝されるのでしょうか。
① 「海の朝鮮人参」としての薬効
中国語でナマコは「海参(ハイシェン)」と書きます。
これは「海にある人参(朝鮮人参)」という意味です。
古来より、滋養強壮、不老長寿の薬として珍重されてきました。
ナマコに含まれるサポニンやコラーゲン、コンドロイチンなどの成分が、免疫力を高めたり、関節の健康に良いと信じられています。
単なる食材ではなく、「食べる漢方薬」としての地位を確立しているのです。
② 乾燥させることで価値が倍増
中国では生のナマコよりも、乾燥させた「干しナマコ」が最高級とされます。
一度乾燥させることで、独特の旨味が凝縮されるとともに、保存がきくようになります。
また、棘(イボ)が多く、形が整っているものほど高値がつきます。
日本の北海道や本州で獲れるナマコ、特にイボが鋭いものは最高品質とされ、中国の富裕層への贈答品として絶大な人気を誇ります。
3. 日本で味わうなら「赤ナマコ」
日本近海で食用にされるマナマコには、主に「赤ナマコ」「青ナマコ」「黒ナマコ」がいます。
今回写真で紹介しているような「赤ナマコ」は、主に外洋の岩場に生息しています。
青ナマコに比べて身が硬く、コリコリとした食感が強いため、日本では特に好まれる傾向にあります。
噛めば噛むほど磯の香りが広がり、ポン酢ともみじおろしで頂けば、日本酒が止まらなくなること間違いありません。
まとめ
普段何気なく食べているナマコですが、夏は眠り、内臓を再生させ、海を浄化するという凄い能力を持っています。
そしてその生命力こそが、中国で「不老長寿の食材」として愛される理由でした。
この冬、スーパーや鮮魚店でナマコを見かけたら、その驚くべき生命力に思いを馳せながら味わってみてはいかがでしょうか。
今が一番美味しい旬の味覚を、ぜひ堪能してください。

