磯釣りで強烈な引きを楽しませてくれる、イスズミやアイゴ、サンノジなどの魚たち。
釣り上げた瞬間、「なんだ、外道(ゲドウ)か」とガッカリする人もいれば、
「これは持ち帰って食べるぞ!」と喜ぶ人もいます。
同じ魚なのに、なぜこれほどまでに**「評価が真っ二つ」**に分かれるのでしょうか?
実はその背景には、魚の食性や釣れた時期、そして何よりも「釣り人自身の処理技術」が深く関わっています。
今回は、磯魚が嫌われる理由と、それを覆して絶品グルメに変えるための秘密を解説します。
見出し1:評価が分かれる最大の要因は「食性」と「ニオイ」
磯魚の評価を最も左右するのは、やはり独特の「磯臭さ」です。
このニオイの原因は、彼らが食べているエサにあります。
海藻を主食にする魚の宿命
メジナ(グレ)もそうですが、イスズミやアイゴなどの磯魚は、岩についた海藻や苔を主食とする雑食性です。
体内に取り込まれた海藻類が発酵し、独特のアンモニア臭や磯の香りを放つ原因となります。
これが「磯魚=臭い」というレッテルを貼られる一番の理由です。
内臓の処理スピードが生死を分ける
このニオイの発生源は、主に「内臓(消化管)」にあります。 釣り上げてから時間が経つと、内臓の内容物のニオイが身に移ってしまいます。
「臭くて食べられない」と評価する人の多くは、このニオイ移りをしてしまった魚を食べている可能性が高いのです。
見出し2:季節による味の激変
「夏は犬も食わぬ、冬は絶品」と言われるほど、季節によって評価が逆転するのも磯魚の特徴です。
夏場(低評価の理由)
水温が高い夏場は、魚の活性が高くエサを大量に食べます。
消化活動が活発なため、内臓のニオイが強烈になりがちです。
また、高水温で身が緩みやすく、鮮度落ちが早いため、美味しく食べる難易度が上がります。
冬場(高評価の理由)
水温が下がる冬場は、海藻の生育が良くなり、良質なエサを食べるようになります。
また、寒さに耐えるために脂(ラードのような脂)を全身にまとうため、身の味が濃厚になります。
この時期の「寒グレ」や「寒アイゴ」は、高級魚にも負けない脂の乗りを見せ、「最高の食材」と絶賛されます。
見出し3:釣り人の「処理技術」が評価を決める
結局のところ、磯魚が「美味しい」か「マズイ」かは、釣り上げた直後の処理(下処理)で
9割決まると言っても過言ではありません。
究極のスパイスは「血抜き」と「冷やし込み」
高評価派の釣り人は、以下の処理を徹底しています。
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即座の活け締め・血抜き: 心臓が動いているうちにエラを切り、海水を循環させて血を完全に抜きます。 血液は腐敗と臭みの原因になるため、これを抜くだけで透明感のある味になります。
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内臓の除去(現場処理): 可能であれば、釣り場で内臓を出してしまうのがベストです。 ニオイの元を断つことで、身へのニオイ移りを物理的に防ぎます。
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潮氷(しおごおり)で急冷: 海水と氷を混ぜたキンキンの氷水で、魚の体温を一気に下げます。
これらの手間を惜しまない人にとって、磯魚は「市場に出回らない極上の味」となります。
逆に、クーラーボックスに入れたまま放置してしまった場合、どんな高級魚でも評価は下がってしまいます。
見出し4:代表的な「評価が分かれる」磯魚たち
イスズミ(ババタレ)
引きの強さは超一級ですが、釣り上げると排泄物を撒き散らすことから嫌われがちです。
しかし、冬場の脂が乗った個体を完璧に血抜きしてしゃぶしゃぶにすると、驚くほど美味です。
アイゴ(バリコ)
ヒレに毒があるため敬遠されますが、関西や和歌山では干物や鍋の具材として非常に人気があります。
独特の香りを「旨味」と捉えるか、「臭み」と捉えるかで好みが分かれますが、皿を舐めるほど美味いという言葉から「サラナ」とも呼ばれます。
サンノジ(ニザダイ)
皮目に特有のニオイがありますが、皮を引いて薄造りにしたり、洗い(氷水で締める)にしたりすると、コリコリとした食感が楽しめます。
調理法を知っているかどうかで評価が変わる典型的な魚です。
まとめ:先入観を捨てて、旬の磯魚を味わってみよう
磯魚の評価が分かれる理由は、**「個体差(季節・食性)」と「人為的な差(処理・調理)」**の掛け算にあります。
「臭いからリリース」していたその魚、実は冬場に適切な処理をすれば、真鯛以上のポテンシャルを秘めているかもしれません。
次回、磯で彼らに出会ったら、ぜひ丁寧な「血抜き」と「保冷」を試してみてください。 きっと、その美味しさに評価が180度変わるはずです。

