南紀の冬に吹き荒れる北西風。
釣り人には辛い爆風ですが、実は「寒グレ」「ヒラスズキ」「ブリ」にとっては絶好の捕食スイッチが入るタイミングです。
なぜ荒れた海で大型魚が釣れるのか?そのメカニズムと狙い方を釣具店スタッフが解説します。
みなさん、こんにちは。
「週末の天気予報、また北西風か……」
冬の南紀釣行を計画する際、この「北西風(季節風)」の予報を見て肩を落とす方も多いのではないでしょうか。
確かに、立っているのもやっとの爆風や、高く打ち上がる波は人間にとっては過酷です。
しかし、海の中の魚たち、特に**「寒グレ」「ヒラスズキ」「ブリ(青物)」といった南紀の
スターたちにとって、この北西風は「食事の時間」を告げるチャイム**のようなものなのです。
今回は、なぜ南紀の冬は北西風が吹くと釣れるのか?その理由を魚の習性から紐解きます。
理由1:警戒心を解く「天然のカーテン」
凪(なぎ)の日の澄んだ海は気持ちが良いものですが、魚からは釣り人の姿や、海中にあるハリス(糸)が丸見えです。
特に「寒グレ」や大型の「ヒラスズキ」は非常に目が良く、賢い魚です。
北西風が強く吹き、海面が波立つとどうなるでしょうか。
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サラシ(白泡)が発生する:海面が白く泡立つことで、海中への光が遮断され、魚から釣り人の姿が見えなくなります。
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仕掛けが馴染む:波の複雑な動きが、不自然なサシエの動きやハリスの存在を隠してくれます。
この「天然のカーテン」があるおかげで、普段なら口を使わないような警戒心の強い大型魚が、大胆にエサを追うようになるのです。
理由2:ベイト(小魚)が岸に寄せられる
ブリやメジロなどの青物、そしてヒラスズキが荒れた日を好む最大の理由がこれです。
北西風は、沖から岸に向かって強い風と波を運びます。
この力によって、遊泳力の弱いイワシやキビナゴなどの小魚(ベイト)は、強制的に岸壁や磯際へと押し流されます。
フィッシュイーターたちにとって、これは絶好のチャンス。 「逃げ場のない岸際」に追い詰められたベイトを、効率よく捕食できるからです。
荒れた日の磯際で、大型の青物がボイルしている光景は、まさにこの現象によるものです。
理由3:酸素量が増え、活性が上がる
冬の水温低下で活性が下がっている魚でも、海が荒れることでスイッチが入ることがあります。
波が岩に砕け、空気が水中に混ざり合うことで、海水中の酸素濃度(溶存酸素量)が一時的に高まります。
新鮮な酸素と、波による適度な潮流の変化は、魚の身体機能を活性化させ、「エサを食いたい」と
いう衝動を引き起こす要因の一つとなります。
特に、磯際の浅いタナで大型グレがひったくっていくようなアタリが出るのは、こういった条件が
揃った時が多いのです。
南紀で北西風を攻略するポイント
とはいえ、爆風の中での釣りはテクニックが必要です。
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風裏を探す: 地形が複雑な南紀には、北西風を背負える(背中から受けられる)ポイントや、風裏となるワンドが多数存在します。完全に風がない場所より、「少し風が舞い込む場所」が狙い目です。
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重めの仕掛け: 風に負けないよう、ウキやオモリは普段よりワンランク重いものを選択し、しっかりと海中で仕掛けを張ることが重要です。
【重要】絶対に無理はしないでください
北西風がチャンスであることは間違いありませんが、自然の力は強大です。
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波の高さに注意: 予報上の波高だけでなく「うねり」や「セット(周期的に来る大波)」に注意してください。
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足場の確保: 濡れている場所は波が来る証拠です。絶対に乾いている高い場所に釣り座を構えてください。
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装備の徹底: ライフジャケット、スパイクシューズは必須です。
「今日は少し荒れすぎているな」と感じたら、勇気を持って撤退するか、安全な港内での釣りに切り替えましょう。
港内にも、荒れを嫌って避難してきた魚が溜まっていることがあります。
まとめ
南紀の北西風が釣れる理由は以下の3つです。
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サラシと波気が魚の警戒心を消してくれるから。
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ベイトが岸際に寄せられ、捕食スイッチが入るから。
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酸素量と潮流の変化で活性が上がるから。
風を嫌がるのではなく、「風を味方につける」ことができれば、南紀の冬釣りはもっと面白くなります。

