南紀地方の堤防釣りで、サビキやフカセ釣りをしていると必ずと言っていいほど集まってくる赤い小魚たち。
釣り人からは「アカジャコ」や「キンギョ」と呼ばれ、エサ取りの代名詞として嫌われることも多い魚です。
実はこの「アカジャコ」、よく見ると2種類の魚が混在していることをご存知でしょうか?
一般的には「ネンブツダイ」とひとくくりにされがちですが、南紀地方で圧倒的に多いのは、
実は「クロホシイシモチ」という別の魚なのです。
今回は、このよく似た2匹の見分け方と特徴について解説します。
1. 南紀の堤防にいるのは「クロホシイシモチ」が9割?
図鑑などで「アカジャコ」「キンギョ」を調べると、まず出てくるのが「ネンブツダイ」という名前です。
しかし、和歌山・南紀エリアの堤防で釣れる赤い魚をよく観察してみてください。
そのほとんどが「クロホシイシモチ」であることに気づくはずです。
両者は同じテンジクダイ科の魚で、習性も非常に似ていますが、体の模様に決定的な違いがあります。
2. 決定的な違いは「頭の黒い点」
この2種を見分けるための最大のポイントは、頭(エラ蓋付近)に黒い点があるかどうかです。
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クロホシイシモチ 名前の通り、「黒い星(点)」が頭の横(目の後ろあたり)にあります。 尾ビレの付け根にも黒い点があり、合計2つの黒点があるのが特徴です。 南紀で「アカジャコ」と呼ばれているのは、ほとんどがこちらです。
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ネンブツダイ 頭に黒い点はありません。 その代わり、頭から体にかけて薄い横縞(ライン)が入っているのが特徴です。 尾ビレの付け根には黒い点がありますが、頭にはありません。
3. 一目でわかる比較表
この2種に共通する面白い生態として、「口内保育(マウスブルーディング)」という習性があります。
産卵後、オスが受精卵を口の中に入れて、孵化するまでエサも食べずに守り続けるのです。
釣れたアカジャコの口が不自然に膨らんでいたら、それは卵を守っているお父さん魚かもしれません。
「エサ取りだ!」と邪険にせず、海へ優しくリリースしてあげたくなるエピソードですね。
5. 実はアオリイカや大型魚の特エサになる
釣り人にとっては厄介なエサ取りですが、フィッシュイーターたちにとってはご馳走です。
特にアオリイカやハタ類(根魚)は、このアカジャコを好んで捕食しています。
南紀の堤防でアジが釣れない時、この現地調達したクロホシイシモチを活きエサ(泳がせ釣り)に使ってみてください。
アジにも負けないほど、アオリイカやアカハタが釣れることがあります。
生命力が強く、弱りにくいのもエサとしてのメリットです。
【まとめ】
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南紀のアカジャコの正体は、主に「クロホシイシモチ」。
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見分け方は「目の後ろに黒いホクロがあるか(クロホシ)」、「横縞があるか(ネンブツダイ)」。
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どちらもオスが口で卵を育てるイクメン魚。
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アオリイカ狙いの特効エサとしても優秀。
次に釣り場で出会ったときは、ぜひエラ蓋のあたりをチェックして、「これはクロホシだな」と確認してみてください。
ただのエサ取りも、違いがわかると釣りの楽しみが一つ増えるはずです。

