釣り人の最終目標の一つ、磯の帝王「クエ」。
写真をご覧いただくとわかるように、全体的に黒っぽく、重厚な迫力を放っています。
しかし、クエという名前は漢字で**「九絵」**と書くように、本来は複雑な模様が特徴的な魚です。
実はクエは、カメレオンのように、その時の「感情」や「環境」に合わせて、瞬時に体色の濃淡を
変えることができる特技を持っています。
なぜこれほど色が変化するのか?
そのメカニズムと、色が示す彼らのサインについて詳しく解き明かします。
1. 最強のステルス迷彩:環境への同化
クエの体色変化の最大の理由は、「擬態(カモフラージュ)」です。
彼らは普段、海底の岩礁帯や洞窟(巣穴)の中に潜んでいます。
岩陰や穴の中は光が届かず、暗い世界です。
その暗闇に溶け込み、獲物に気づかれずに待ち伏せするために、彼らは体内の色素胞をコントロールして、体を黒褐色や濃い茶色に変化させます。
写真の個体が黒っぽいのも、直前まで暗い場所にいたか、海底の岩肌に同化しようとしていた証拠と言えます。
2. 興奮とストレスのサイン:戦闘モード
クエは非常に感情豊かな(?)魚です。 釣り上げられた瞬間や、エサを見つけて興奮状態にある時、体色は激しく変化します。
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興奮時(捕食モード): 獲物を狙う瞬間、コントラストの強い縞模様や斑紋が浮き出ることがあります。
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ストレス時(釣り上げられた時): 釣り上げられて地上に出ると、急激な環境変化への恐怖や防御本能から、全体的に色が黒ずんだり、逆に白っぽく変色したりと、個体によって様々な反応を見せます。 写真の個体が黒く変色しているのは、釣り上げられたことによる極度の緊張状態(防御反応)である可能性が高いです。
3. 成長による変化:「九絵」から「黒」へ
クエの体色は、成長段階によっても大きく異なります。
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幼魚〜若魚: 「九絵」の名前の通り、体側に不規則で美しい縞模様や斑紋がくっきりと現れます。 若い個体ほど、敵から身を守るために周囲の複雑な背景に紛れる必要があるためです。
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成魚(大型個体): 成長して巨大になると、天敵がいなくなるため、細かい模様による迷彩の必要性が薄れます。 そのため、老成魚になるにつれて縞模様は薄れ、全身が灰褐色やどす黒い色へと変化していく傾向があります。 「真っ黒なクエはデカイ」と言われるのは、このためです。
4. 死後の変化
市場などで見かけるクエの色が違うこともあります。
クエは死後(または活け締め後)、神経の制御が切れることで、生きていた時の興奮色が解け、
本来の地味な褐色に戻ったり、逆に模様がボヤけたりします。
釣り人が見る「ギラギラした生命感のある色」と、魚屋で見る色が違うのはこのためです。
釣り上げた直後の、色がコロコロ変わる様子を見られるのは、釣り人だけの特権なのです。
まとめ
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クエは岩場や暗闇に同化するため、体色を濃く変化させる「擬態」の名手。
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釣り上げられたストレスや興奮によって、瞬時に黒くなったり模様が出たりする。
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幼魚は模様がハッキリしているが、巨大化すると模様が消えて「真っ黒」になりやすい。
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写真の黒い個体は、戦闘モードか、あるいは大型化の証である貫禄の色。
釣太郎より
南紀の磯は、この夢の巨大魚「クエ」が狙える日本有数のフィールドです。
「冷凍メジカ」「冷凍ムロアジ」もご用意しています。

