スーパーの鮮魚コーナーではまず見かけない、黒っぽくて平たい魚。
写真の魚は「セトダイ」(南紀ではヒゲダイ)といいます。
釣り人でも釣れるのは稀で、もし釣れても「なんだこの変な魚は?」とリリースされてしまうことも。
しかし、その判断は非常にもったいないです。 実はこのセトダイ、魚好きの間では
「隠れた絶品魚」として取引される、知られざる実力者なのです。
セトダイってどんな魚?ユーモラスな見た目の秘密
セトダイは、スズキ目イサキ科(またはヒゲダイ科)に属する魚です。
その特徴はなんといっても、どこか愛嬌のある顔つきにあります。
1. 名前の由来と「ヒゲ」
顎(あご)の下に、短いヒゲのような突起が密集しています。
これがまるで無精髭のように見えることから、近縁種には「ヒゲソリダイ」という名前がついているほどです。
このヒゲがセンサーの役割を果たし、砂底のエサを探しています。
2. 地域によって呼び名が変わる
瀬戸内海で多く獲れることから「セトダイ」という標準和名がつきました。
しかし、岡山県や香川県などの産地では**「タモリ」**という愛称で親しまれています。
「タモリが釣れた!」と言われても、芸能人のことではありません。
地域密着型の魚であるがゆえに、全国的な流通には乗りにくいのです。
なぜ市場に流通しないのか?
これほど美味しい魚なのに、なぜメジャーになれないのでしょうか。 それには2つの理由があります。
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漁獲量が不安定で少ない: 狙って獲れる魚ではなく、底引き網などで混獲されることがほとんどです。 まとまった数が揃わないため、大手スーパーなどの流通ルートには乗りません。
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見た目が地味で硬い: 黒くてゴツゴツしており、ウロコが非常に硬く、調理に手間がかかります。 一般家庭向けには敬遠されがちですが、その分、プロの料理人や地元の食通がこっそりと買い占めているのです。
気になるお味は?「見た目」とのギャップに驚愕
セトダイの最大の特徴は、その味の良さにあります。
「見日(みめ)な魚」という言葉があるように、見た目が特徴的な魚ほど美味しいことが
多いですが、セトダイはその代表格です。
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極上の白身: 身は透明感のある美しい白身です。 イサキやタイに似ていますが、それらよりも脂の甘みが濃厚で、モチモチとした弾力があります。
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熱を通しても硬くならない: 繊維がしっかりしていますが、加熱するとホロホロとほぐれます。 特に皮目のゼラチン質が豊富で、ここから出る旨味がたまりません。
オススメの食べ方ベスト3
もしセトダイを手に入れたら、ぜひ試してほしい料理法をご紹介します。
1. 煮付け(最強の食べ方)
セトダイ料理の王道です。 皮付きのまま甘辛く煮付けると、皮目のゼラチン質が溶け出し、煮汁にとろみがつきます。
身離れがよく、濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。
「煮付けにするならタイよりセトダイ」というファンも多いほどです。
2. 刺身・焼き霜造り
新鮮なものは刺身が絶品です。
皮が厚いので、バーナーで皮目を炙る「焼き霜造り」にすると、香ばしさと脂の甘みを同時に楽しめます。
わさび醤油はもちろん、塩とスダチで食べるのも乙です。
3. 塩焼き
シンプルですが、素材の良さが一番わかります。
焼くと皮がパリッとして、中からジューシーな脂が溢れ出します。
まとめ
ユーモラスな顔をして、市場にはめったに出回らない「セトダイ」。
しかしその正体は、地元の人だけが知っている極上のグルメ食材でした。
もし鮮魚店や釣り場でこの「ヒゲのある黒い魚」を見かけたら、迷わず確保してください。
その見た目からは想像できない上品で濃厚な味わいに、きっと驚くはずです。

