エギングロッドが大きく絞り込まれ、「これはデカい!」と心踊らせた瞬間。
海面に上がってきた茶色いシルエットを見て、釣り場に微妙な空気が流れることがあります。
「なんだ、モンゴウか……」 なぜアオリイカ釣り師は、美味しくて大きなモンゴウイカが釣れても素直に喜べないのでしょうか。
時には笑いが起き、リリースさえされてしまうその「切実な理由」と、持ち帰るべき魅力を解説します。
1. 理由その①:引き味が「重いだけで楽しくない」
アオリイカとモンゴウイカでは、釣り上げるまでの「ファイト(やり取り)」の質が決定的に異なります。
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アオリイカの引き 「ジェット噴射」と呼ばれる、強烈で鋭い引き込みがあります。 グイーーン、グイーーンとロッドを叩く躍動感こそがエギングの醍醐味です。
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モンゴウイカの引き 一言で言えば**「重い漬物石」や「濡れた雑巾」**を引いている感覚。 ジェット噴射は単発的で、あとはひたすら「ズーン」と重いだけ。 さらに、回転しながら上がってくることが多く、水の抵抗で余計に重く感じます。
「巨大アオリだと思ったのに!」という期待値からの落差が、浮上した瞬間の「苦笑い」に繋がります。
2. 理由その②:スミの量が「爆弾レベル」で危険すぎる
釣り人がモンゴウイカを最も敬遠する理由、それは**「スミ(墨)」**です。
アオリイカとは比較にならない量と粘度のスミを吐きます。
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大惨事のリスク 取り込み中や、エギを外す瞬間に「ブシュッ!」とやられると、ウェアも道具も、堤防や船のデッキも真っ黒になります。 特にスミの粘度が高く、服につくと落ちにくいのが特徴。 「綺麗なウェアを汚したくない」「後の掃除が面倒」という心理から、触らずに海中で外してリリースする人も少なくありません。
3. 理由その③:ヌメリと処理の手間
モンゴウイカは、アオリイカに比べて体表のヌメリが強く、処理に手間がかかります。
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クーラーボックスが汚れる そのまま入れると、大量のスミとヌメリでクーラーボックス内がドロドロになります。 他の魚と一緒にしたくない、という心理が働きます。
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家庭での処理 甲(骨)が大きく、身も分厚いため、捌くのに少し力とコツがいります。 「そこまでして食べなくても、アオリイカがあるし……」という贅沢な悩みにより、リリース対象になることがあります。
でも待って!本当は「持ち帰り推奨」の絶品イカ
釣り場では嫌われがちなモンゴウイカですが、食味の点ではアオリイカに引けを取りません。
濃厚な甘みはアオリ以上?
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甘みが強い:ねっとりとした食感と強い甘みは、寝かせたモンゴウイカならでは。
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加熱に強い:天ぷらやフライにしても身が硬くなりにくく、プリプリ感が楽しめます。 冷凍保存しても味が落ちにくいので、ストック食材としても優秀です。
嫌われないための「持ち帰りマナー」
モンゴウイカを美味しく、かつスマートに持ち帰るコツがあります。
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海中でスミを吐かせる 取り込む前に、海面で刺激して十分にスミを吐かせてから上げます。
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イカ締めピックを使う 締めてしまえばスミを吐かなくなります。眉間を刺して即座に締めましょう。
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厚手の袋に入れる ジップロックなどの密閉袋に入れれば、クーラーボックスを汚しません。
まとめ
釣り人がモンゴウイカを見てガッカリするのは、「アオリイカ特有の引き」を期待していた反動と、「スミ爆弾への恐怖」が原因です。
しかし、その味は高級料亭でも使われるほどの一級品。
「外道」と笑わず、スミ対策を万全にして、ぜひ持ち帰ってその濃厚な甘みを味わってみてください。

