はじめに:最後の一瞬で泣かないために
ヤエンやエギングでアオリイカを足元まで寄せてきたのに、最後の最後で逃げられてしまった。
そんな悔しい経験はありませんか?
実はそのバラシ、取り込みの「方向」が間違っているせいかもしれません。
アオリイカのランディングには、タモ(網)であれギャフであれ、絶対に守るべき鉄則があります。
それは**「頭から追わず、お尻(後ろ)から入れる」**ことです。
1. なぜ「頭から」はNGなのか?
魚をすくう時は「頭から」が基本とされていますが、アオリイカの場合は全く逆です。
その理由は、イカ独特の「逃げ方」と「身体の構造」にあります。
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ジェット噴射の方向 アオリイカは危険を感じると、体内の海水を噴出して**「後ろ向き(エンペラ側)」**に猛スピードで逃げます。 もし、あなたがイカの頭(足側)から網を近づけたとしましょう。 イカは驚いてバックします。 すると、網から遠ざかる方向にジェット噴射することになり、あっという間に射程圏外へ逃げられてしまいます。
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視界に入ってしまう イカの目は非常に良く、特に前方(足側)の動きには敏感です。 目の前に網やギャフが見えると、激しく警戒して暴れ出します。
2. 「お尻から」が鉄則である科学的理由
ここで言う「お尻」とは、足の反対側、つまり**「エンペラ(耳)がある方」**を指します。
後ろからアプローチすることが、なぜ確実な捕獲に繋がるのでしょうか。
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逃げる方向を塞ぐ お尻側に網やギャフを構えておけば、イカが驚いてジェット噴射をしたとしても、自分から網の中に飛び込んでくる形になります。 「逃げようとした先に行き止まり(網)がある」という状況を作るのが、賢いランディングです。
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死角から忍び寄れる イカの後方は比較的死角になりやすい場所です。 気づかれないようにそっと後ろから近づけることで、イカをパニックにさせずに取り込むことができます。
3. タモ(網)とギャフ、それぞれのコツ
この「お尻から」の法則は、道具が変わっても変わりません。
タモ(網)の場合
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イカを水面まで浮かせ、空気を吸わせて大人しくさせます。
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タモを海中に沈め、イカのお尻(エンペラ側)の後方で待ち構えます。
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竿を操作して、イカをバックさせるように誘導し、お尻から網へ滑り込ませます。
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決して網でイカを追い回してはいけません。 「網にイカを入れる」のではなく、「イカを網に誘導する」イメージです。
ギャフの場合
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イカの下、あるいは斜め後ろからギャフを近づけます。
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イカの視界に入らないよう、エンペラ側の下方から静かに寄せます。
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タイミングを見計らい、お尻側から胴体にかけて確実な位置に掛けます。 (※ギャフの場合は掛ける位置も重要ですが、アプローチはやはり後方からが基本です。)
まとめ:イカの習性を逆手に取ろう
アオリイカの取り込みにおいて、「頭から」は逃走を助ける行為であり、「お尻から」は退路を断つ行為です。
この理屈さえ理解していれば、足元でのバラシは劇的に減ります。
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イカはバックで逃げる。
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だから、バックした先(お尻側)で待ち構える。
次回の釣行では、このシンプルな鉄則を思い出して、冷静にビッグワンを仕留めてください。

