南紀ではかつて、50cmを超える“尾長グレ”や“口太グレ”が各磯で頻繁に上がっていました。
しかし近年、「年に1本釣れれば上出来」と言われるほど、大型グレが姿を見せなくなっています。
その背景には、環境変化・資源減少・釣り圧の増加など、複数の要因が重なっていると考えられます。
50cm級のグレは、成長に5年以上かかる個体も多く、環境変化の影響を強く受けます。
・漁業や釣り人による“選択的釣獲”で、大型ほど先に抜かれる。
・磯焼けで藻場が減り、エサとなる生物や隠れ場が失われた。
・産卵場が少なくなり、稚魚の生存率も低下。
南紀では特に、藻場の衰退=グレの棲み場減少が深刻です。
昔は釣れた磯で釣れない。
これも、海流や水温の微妙な変化が原因の一つです。
・黒潮の蛇行で潮通しが変化。
・エサの分布が変わり、グレが違うエリアに移動。
・浅場では警戒心が強くなり、深場や外洋寄りに下がる傾向。
つまり「居なくなった」のではなく、「場所がズレた」ケースも多いのです。
南紀の磯は近年、磯焼けと呼ばれる海藻の枯死現象が増えています。
・海水温の上昇でホンダワラ・カジメ類が生えにくい。
・アイゴなど草食魚の増加で藻場が食い尽くされる。
・港湾整備やテトラ設置で潮の流れが変化。
海藻が消えると、グレの主食である藻類や甲殻類も減少。
結果として、大型グレが育つための「餌場」が消滅しています。
昔よりも道具が進化し、誰でも簡単に磯に立てる時代になりました。
しかしその分、釣り圧も上昇。
特に人気磯では大型個体へのプレッシャーが高く、グレがスレやすくなっています。
・週末ごとの撒き餌で警戒心が上昇。
・タモ入れで逃げた個体が群れに警戒信号を出す。
・釣果情報の拡散でポイントが集中。
大型が釣られる→再び成長個体が減る、という負のスパイラルが続いているのです。
かつてのグレ釣りは「潮を読む」「撒き餌を合わせる」感覚的な釣りでした。
しかし現代は、仕掛けも繊細化し、タナ設定・潮筋把握・餌の同調精度など、要求レベルが上がっています。
つまり「釣れない」のではなく、釣る条件がより厳密になったという見方もできます。
50cm級を狙うなら:
・底付近を丁寧に攻める。
・撒き餌と刺し餌の同調を意識。
・潮止まり前後の時合を逃さない。
南紀エリアは依然として、全国でも屈指のグレ釣り聖地です。
ただし「大型が減った」という現実を踏まえ、釣り人の姿勢も変わる必要があります。
・藻場回復活動やリリース文化の推進。
・若いグレを残す意識を持つ。
・環境に優しい釣りを選ぶ。
これからの南紀は、「釣り人が資源を守る」地域として進化していく段階にあります。


