リールに最初から巻かれている「おまけの糸」。
または激安パックで売られているライン。
一見「同じ太さ」「同じ号数」でも、メーカー品とはまるで別物です。
この記事では、釣り人が気になる「ラインの品質差」と「糸ヨレの原因」について、分かりやすく解説します。
ラインの性能は見た目では分からない
釣り糸は細いナイロンやPEでできており、外見では違いがほとんど分かりません。
しかし「分子構造」や「表面処理」、「均一性」が違うだけで、性能に大きな差が出ます。
たとえば同じ2号ナイロンでも──
| 比較項目 | メーカー製ライン | 安価ライン |
|---|---|---|
| 直線強度 | 公称値通り(誤差3%以内) | バラつき大(10〜20%低下も) |
| コーティング | 紫外線・摩擦に強い特殊樹脂 | なし or 不均一 |
| 糸径の均一性 | ほぼ一定 | 太さが部分的に変動 |
| ヨレ耐性 | 高い | 低く、すぐクセが付く |
| 巻きグセ | 少ない | リールに強く残る |
安いラインが“糸ヨレ”しやすい3つの理由
① ナイロン分子の配列が不均一
安価なラインは、原料のナイロンやPEの純度が低く、製造工程も粗いため、分子配列がバラバラ。
そのため伸縮率が一定せず、回転系リール(スピニングなど)でヨレが溜まりやすくなります。
メーカー品は「延伸加工(引き伸ばし工程)」を厳密に管理しており、分子を一直線に整列。
これにより、ねじれに対する耐性が非常に高くなっています。
② コーティング処理の有無
ライン表面を滑らかにする「コーティング処理」が、ヨレの発生を大きく左右します。
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メーカー品:フッ素系やシリコン系のコートで滑りが良く、回転に対して抵抗が少ない。
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安価品:コートなしのため摩擦が大きく、ガイドやスプールでねじれが伝わりやすい。
コーティングがないと糸の表面がザラつき、キャスト時に「ねじれ→巻きグセ→団子」になりやすいのです。
③ 熱処理・冷却の精度が低い
ラインは溶かした樹脂を引き延ばして製造されますが、その後の冷却温度や引き取りスピードが一定でないと、内部応力が残ります。
この応力が「自然に巻きグセを作る」原因。
高品質ラインでは、0.1秒単位で温度とテンションを制御。
安価ラインではこの制御が甘いため、出荷時から“クセ”がついていることも多いです。
メーカー品ラインの強み
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均一な糸径で飛距離・感度が安定
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表面処理でヨレ・ガイド摩擦が減少
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紫外線・塩害にも強く寿命が長い
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魚の引きでも伸びが均一でバラシにくい
結果として、キャストの正確性・巻き心地・感度、すべてが安定します。
「安物ライン=悪」ではないが、用途を選ぶべき
安価ラインは「短時間の釣り」「子供や初心者の練習」「淡水の小物釣り」などには十分使えます。
ただし、アオリイカや青物など“1本のラインで勝負が決まる釣り”には不向きです。
耐久性・トラブル率を考えれば、メーカー品を選ぶ方が結果的に安上がりになります。
ラインのヨレを減らす実践的対策
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キャスト後はテンションをかけて巻く
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定期的にスプールを逆回転でほぐす
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PEラインの場合はスイベル(ヨリモドシ)を使用
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使用後は真水で洗浄+陰干し
釣行後に一度伸ばしてクセを取るだけでも、寿命は倍近く伸びます。
要約
メーカー製ラインと安価ラインの差は「分子の整列・コーティング・均一性」にあります。
安物はヨレやすく、クセが付きやすいのが最大の弱点。
見た目が同じでも中身はまったく違う製品です。
「ラインの品質は釣果を左右する」──これは決して大げさな話ではありません。
FAQ
Q1. 安いラインでも新品なら問題ない?
A1. 数回の釣行なら使えますが、ヨレが早く出るため中級者以上には不向きです。
Q2. メーカー品はなぜ高い?
A2. 原料の純度・温度管理・コーティング工程など、精密な製造コストがかかるためです。
Q3. ヨレたラインは復活できる?
A3. 軽く引っ張りながら湯につけて乾かすと一時的に戻りますが、完全回復はしません。


