アオリイカ vs モンゴウイカ「イカ墨」徹底比較!本当に美味しいのはどっち?成分と粘度の違いを解説

イカ墨パスタやイカ墨リゾット…。

濃厚なコクと旨味がたまらない「イカ墨料理」ですが、実はイカの種類によって、その「墨」の味や性質は全く違うことをご存知ですか?

特にエギング(釣り)の対象として人気の高い「アオリイカ」と「モンゴウイカ(コウイカ)」。

どちらも大量の墨を吐きますが、両者の墨には決定的な違いがあります。

この記事では、「アオリイカの墨」と「モンゴウイカの墨」を徹底比較し、どちらが美味しいのか、成分にどんな違いがあるのかを科学的に解説します。


結:美味しいイカ墨は「モンゴウイカ」!

いきなり結論から申し上げます。

イカ墨料理として「美味しい」のは、圧倒的に「モンゴウイカ(コウイカ類)」の墨です。

スーパーなどで販売されている「イカ墨ペースト」の多くは、モンゴウイカ(またはコウイカ)の墨が原料です。

一方、アオリイカの墨は、釣りの現場では厄介者ですが、食材として利用されることは(ほぼ)ありません。

なぜ、これほどまでに評価が分かれるのでしょうか?

その秘密は「成分」と「粘度」にありました。


比較表:アオリイカの墨 vs モンゴウイカの墨

両者の違いは、その「役割」の違いから生まれています。

比較項目 アオリイカの墨(ツツイカ類) モンゴウイカの墨(コウイカ類)
主な役割 煙幕・目眩まし(敵から逃げるため) 分身・デコイ(敵の注意をそらすため)
粘度 低い(サラサラ) 高い(ドロドロ・ネバネバ)
薄い・水っぽい・旨味が少ない 濃厚・クリーミー・旨味が強い
旨味成分 少ない 非常に豊富(アミノ酸)
墨の量 体の割に少なめ 体の割に非常に多い
料理適性 不向き 最適

1. 【美味しい理由】モンゴウイカの墨

なぜモンゴウイカの墨は、料理に使うとあんなに美味しくなるのでしょうか。

① 圧倒的な「旨味成分(アミノ酸)」

イカ墨の「コク」や「旨味」の正体は、グルタミン酸アスパラギン酸といったアミノ酸です。

モンゴウイカの墨は、このアミノ酸の含有量が全イカ類の中でもトップクラス。

旨味成分が凝縮されているため、加熱すると芳醇な香りと深いコクが生まれます。

② 料理に最適な「高い粘度」

モンゴウイカの墨は非常に粘度が高く、ドロっとしています。

これは、敵に襲われた際に「黒い自分の分身(デコイ)」を水中にとどまらせ、敵の注意をそちらに向けるために進化した性質です。

この「粘度の高さ」が、料理において最高のメリットとなります。

パスタソースやリゾットに使うと、墨が水分と分離せずに全体によく絡み、濃厚でクリーミーな仕上がりになるのです。


2. 【食用に不向きな理由】アオリイカの墨

では、なぜアオリイカの墨は食用に向かないのでしょうか。

① 旨味成分が「少ない」

アオリイカの墨も、主成分は同じ「メラニン」ですが、モンゴウイカの墨と比較して、旨味の元となるアミノ酸の含有量が格段に少ないです。

そのため、食べても「美味しい」と感じるコクや旨味がほとんどありません。

② 粘度が低く「水っぽい」

アオリイカの墨は、粘度が非常に低く、サラサラです。

これは、アオリイカが高速で泳ぎながら広範囲に「煙幕」を張り、敵の視界を一瞬で奪って逃走するために特化したためです。

この「水っぽさ」が料理では仇となります。

加熱してもパスタや米に絡まず、まるで**「黒いお湯」**のようになってしまい、料理に一体感が出ません。

③ 墨の量が少ない

アオリイカは、モンゴウイカと比べて体のサイズに対する「墨袋」が小さく、一匹から取れる墨の絶対量も少ないため、調理に必要な量を確保するのが難しいという現実的な問題もあります。


共通成分:「黒い色素」の正体

ちなみに、どちらのイカ墨も、あの「黒い色」の正体は**「メラニン色素」**です。

このメラニン自体に味はありません。

メラニンはタンパク質と結合しており、そのタンパク質を構成するアミノ酸の種類と量の違いが、「味の違い」を生んでいるのです。


 

まとめ

アオリイカとモンゴウイカの「イカ墨」の違いは、彼らの「生き残り戦略(逃げ方)」の違いそのものでした。

  • アオリイカの墨
    • 高速で逃げるための「煙幕(サラサラ・薄味)」
    • 食用には不向き
  • モンゴウイカの墨
    • 敵を騙すための「分身(ドロドロ・濃厚)」
    • イカ墨料理に最適

もし釣ったモンゴウイカ(コウイカ)が大量の墨を吐いたら、それは「厄介な汚れ」ではなく**「極上の天然ソース」**の素です。

ぜひ捨てずに墨袋を持ち帰り、絶品のイカ墨料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

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