アオリイカを釣り上げたり、水槽でじっくり観察したりすると、合計10本の「足(ゲソ)」があることがわかります。
しかし、よく見ると 「2本だけ異常に長い腕」 と 「8本の短い腕」 に分かれていることに気づくでしょう。
釣り人の間では「触手(しょくしゅ)」や「触腕(しょくわん)」といった言葉が使われますが、その違いや役割を正確にご存知でしょうか?
- 「イカパンチ」って、どの腕でやっているの?
- 「触手」と「触腕」って、どっちが正しい呼び方?
- 10本の腕には、どんな役割分担があるの?
この記事では、アオリイカの10本の腕の謎を、釣り人目線で徹底的に解説します。
この知識は、アワセのタイミングを見極めるヒントにもなります。
結論:アオリイカは「8本の腕」と「2本の触腕」を持つ
まず結論から。
一般的に「イカの足」や「ゲソ」と呼ばれる10本の部位は、生物学的には獲物を捕獲したり移動したりするために使うため、「足」ではなく**「腕(うで)」**と呼ばれます。
そして、その10本の構成は以下のようになっています。
- ① 腕(うで):8本(比較的短い)
- ② 触腕(しょくわん):2本(非常に長く、伸縮自在)
一般的に「触手(しょくしゅ)」と呼ばれることもありますが、イカやタコの仲間(頭足類)の専門用語としては、この長い2本は**「触腕(しょくわん)」**と呼ぶのが正確です。
【役割①】8本の「腕(うで)」:獲物を固定し、食べるためのもの
まずは、基本となる8本の「腕」についてです。
- 特徴:
- 2本の「触腕」に比べて短い。
- 根元から先端まで吸盤が並んでいる。
- 主な役割:
- 獲物の固定:後述する「触腕」が捕らえた獲物(アジやエギ)を、がっちりと抱きかかえて逃さないように固定します。
- 口へ運ぶ:固定した獲物を、中央にある口(カラストンビ)まで運び、食べるために使います。
この8本の腕にガッチリとエギを抱かれた状態が、いわゆる「本アタリ」です。この状態になれば、アワセを入れてもスッポ抜ける可能性は低くなります。
【役割②】2本の「触腕(しょくわん)」:獲物を捕獲するミサイル
次に、アオリイカのハンターたる所以(ゆえん)である、2本の「触腕」です。これこそが釣り人が最も意識すべきパーツです。
- 特徴:
- 他の8本より圧倒的に長く、伸縮自在。
- 普段は体の中に(第3腕と第4腕の間あたりに)器用に折りたたんで収納されている。
- 先端の「触腕掌部(しょくわんしょうぶ)」と呼ばれる部分にだけ吸盤が集中している。
- 主な役割:
- 獲物の捕獲:獲物(アジやエビ、そしてエギ)を見つけると、この2本の触腕を目にもとまらぬ速さでミサイルのように伸ばし、獲物を捕獲します。
釣り人必見:「イカパンチ」の正体
エギングで「コンッ」や「ビンビンッ」と、何かが触ったような小さなアタリを感じたことはありませんか?
それこそが、アオリイカがエギを獲物かどうか確かめるため、または捕獲の第一段階として、収納していた「触腕」を瞬時に伸ばしてエギにタッチした瞬間、すなわち**「イカパンチ」**です。
なぜ「触腕」だけのイカがいるのか?
時折、釣り上げたアオリイカや、市場のイカを見ると、この重要な「触腕」が2本とも、あるいは1本失われている個体を見かけることがあります。
これは、エギングやヤエン釣りにおいて、**「イカパンチ」(触腕でのタッチ)**の段階で釣り人が強引にアワセてしまい、身切れ(腕切れ)を起こして触腕だけがちぎれてしまった結果である可能性が高いです。
触腕を失ったイカは、獲物を捕らえる能力が著しく低下してしまいます。
アタリがあった際に、それが「触腕」によるパンチなのか、「8本の腕」による抱きつきなのかをイメージすることが、イカを確実に釣り上げ、また無用な腕切れを防ぐことにも繋がります。
まとめ:10本の腕の役割を知って釣果UP!
アオリイカの10本の腕について、違いと役割をまとめます。
| 名称 | 本数 | 特徴 | 主な役割(釣りでの動き) |
| 触腕 (しょくわん) | 2本 | 長く、伸縮自在。普段は収納。 | 獲物の捕獲(=イカパンチ、最初のアタリ) |
| 腕 (うで) | 8本 | 短い。吸盤が密。 | 獲物の固定(=本アタリ、抱きつき) |
アオリイカは、まず「触腕」で獲物を捕らえ、その後「腕」で抱きかかえて仕留めます。
この一連の捕食行動を理解することで、エギングにおけるアタリの取り方やアワセのタイミングが、より深く理解できるはずです。
【釣太郎みなべ店より】
当店では、現在アオリイカを生きたまま水槽で飼育・展示しております。
運が良ければ、この「触腕」を瞬時に伸ばして獲物を捕らえる、迫力満点の捕食シーンを間近で観察できるかもしれません。
ぜひ、その驚異的なハンティング技術をご自身の目でお確かめください。

