釣り人が「今日は1℃下がったから食いが悪い」と感じるのは、気のせいではありません。
アオリイカは水温の変化に極めて敏感で、わずか1℃違うだけで代謝が大きく変わります。
その変化率はなんと約10%。
つまり、水温1℃の変化は人間にとっての気温10〜15℃差に相当するのです。
アオリイカの代謝を支配する「Q10則」とは
生物の代謝は、温度によって変化することが知られています。
この関係を示す法則が「Q10(キューテン)則」です。
Q10とは、「温度が10℃上がると代謝が何倍になるか」を示す数値のこと。
一般的に、魚類やイカ類などの変温動物ではQ10=2〜3とされます。
つまり、10℃上昇で代謝が2〜3倍。
1℃上昇なら、その10分の1にあたる変化が起こります。
計算で見る:水温1℃で代謝は約10%変化
Q10の一般式は次の通りです。
代謝変化率=Q10(ΔT/10)代謝変化率 = Q10^{(ΔT/10)}
ここでQ10=2〜3、ΔT=1℃を代入すると、
2(1/10)≒1.07,3(1/10)≒1.122^{(1/10)} ≒ 1.07,\quad 3^{(1/10)} ≒ 1.12
つまり、1℃の水温変化で**約7〜12%**の代謝変動が起こる計算になります。
この差は非常に大きく、アオリイカの摂餌行動・遊泳スピード・反応速度すべてに影響を与えます。
釣り人が体感する「1℃の壁」
秋や春のアオリイカ釣りでは、水温が1℃下がるだけで急に食い渋ることがあります。
これは代謝が落ちて動きが鈍くなるため。
反対に、1℃上がると代謝が10%ほど上昇し、積極的に餌を追いかけるようになります。
つまり、釣り人が「今日は反応がいい」「急に乗らなくなった」と感じるのは、
アオリイカの生理が“水温1℃単位”で揺れ動いているからです。
体感換算:人間の気温差で例えると
人間は恒温動物で、体温を一定に保っています。
それでも外気温が10℃変わると、服装を変えたり行動を変えたりします。
変温動物であるアオリイカにとっての1℃変化は、
人間にとっての気温10〜15℃変化に相当します。
このため、水温21℃から20℃へ下がるだけで、アオリイカにとっては「一気に寒波が来た」ほどの衝撃になります。
水温変化と釣果の関係
| 水温変化 | アオリイカの反応 | 釣り人の対策 |
|---|---|---|
| +1℃ | 代謝+10%前後、活性上昇 | シャローを狙い、派手なカラーのエギで誘う |
| ±0℃ | 平常運転、安定期 | 同レンジで継続、潮流重視 |
| −1℃ | 代謝−10%前後、食い渋り | 深場狙い、動かし過ぎずゆっくり攻める |
このように、1℃変わるだけで戦略を変える必要があります。
釣行前に前日比の水温差をチェックするだけで、釣果が劇的に変わることも少なくありません。
まとめ
・アオリイカは変温動物であり、水温に体の働きを左右される。
・Q10則により、水温1℃変化=代謝7〜12%変化。
・体感換算では、人の気温10〜15℃の差に匹敵する。
・釣果を上げるには、前日比±1℃を読むことが最重要。
FAQ
Q1. なぜ1℃でそんなに変化するの?
水は空気より熱伝導が25倍高く、外気よりも体温を奪いやすいためです。
アオリイカは体温を保てないため、代謝が直接変動します。
Q2. 釣りで最も良い水温帯は?
おおむね21〜23℃。
この範囲では代謝と酸素消費がバランスし、最も活発に動きます。
Q3. 水温が下がったときのコツは?
深場を狙う・アジを元気に泳がせる・エギを少し重めにすること。
これで“代謝低下”を補うことができます。


