アオリイカの目から見た世界は、人間とはまったく異なる不思議な世界です。
以下で、生物学的な構造・見え方・色の認識・視野・光環境への適応という5つの視点から、アオリイカの「視覚の世界」を詳しく解説します。

🧠1.アオリイカの目の構造は「カメラ型」だが、人間とは逆構造
アオリイカの目は、魚類や人間と同じく「カメラ眼」と呼ばれる構造を持っています。
ただし、決定的な違いは「網膜の構造の向き」です。
・人間の網膜は光を受け取る細胞が奥側にある(神経が前にある)ため、光が少し減衰して届きます。
・アオリイカの網膜はその逆で、神経が後ろ側にあり、光をダイレクトに受け取ります。
そのため、アオリイカの目は非常に明るく、暗い海底でも細かい動きを見逃しません。
夜や濁り潮でも、アジのわずかな動きを見つけ出せるのはこの構造のおかげです。
🌈2.色は「見えていない」が、光の偏光を感知できる
アオリイカは色覚を持たない「モノクロ視」です。
つまり、世界は白・黒・グレーの濃淡として見えています。
しかし驚くことに、人間には見えない**偏光(光の波の向き)**を識別できます。
この偏光視覚により、背景と同化した魚の輪郭や、エギの微妙な光の反射を見抜くことができます。
実際、研究によるとアオリイカは「背景の反射の角度の違い」から、獲物の位置を正確に特定していることが分かっています。
つまり、色よりも「光の反射方向」を頼りにしているのです。
👀3.視野はほぼ360度! 死角はほとんどなし
アオリイカの目は左右に大きく張り出しており、視野はほぼ360度。
真後ろ以外、ほぼ全方位をカバーしています。
・正面を両目で立体的に見る「両眼視」も可能。
・そのため、距離感を正確に掴める。
ヤエンやエギが近づくと、イカは両目で距離を測りながら、タイミングを見計らって腕を伸ばします。
人間のように「見つめてから動く」のではなく、「一瞬で距離と方向を計算して捕獲」するのです。
💡4.光に応じて「瞳孔の形」が変わる
アオリイカの瞳孔は独特の「W字型」をしています。
これは光の量を細かく調整し、明暗の差を自然に和らげるための構造です。
・昼間の明るい海ではW字型が細く閉じる。
・夜や深場では大きく開いて光を多く取り込む。
この調整により、昼夜・深浅を問わず、つねに一定の視覚情報を得ることができます。
エギングで夜にアオリイカが良く釣れるのは、夜行性であると同時に、暗闇での視力が優れているためです。
🌊5.「世界」はコントラストと動きで構成されている
アオリイカが見ているのは、色ではなく「コントラストと動きの世界」です。
背景と獲物の明暗の差、光の反射方向、動きのパターンを統合して「何かが動いた」と判断します。
このため、
・わずかなエギのフォール姿勢の変化
・波紋や光の揺らぎ
・アジの尾びれの反射
などにも敏感に反応します。
逆にいえば、「動かないエギ」は無視されやすく、「自然な動き」が釣果を左右します。
🧬まとめ:アオリイカの目から見た世界
・色は見えていない(モノクロ視)
・光の向き(偏光)を見分けている
・明暗のコントラストと動きで世界を認識
・瞳孔で光量を自在に調整
・視野はほぼ360度で死角なし
つまりアオリイカにとっての世界は、
「色のない、光と動きの立体的な宇宙」。
その中で、エギやアジが発する“違和感のない動き”こそが、最も自然に見える獲物なのです。

