和歌山県・南紀地方の海で竿を出したことがある釣り人なら、誰もが一度はこう思ったことがあるはずです。
「なんでこんなにクサフグが多いんだ…」
「グレ(メジナ)がどこにでも群れている!」
実際、南紀は全国的に見てもフグとグレの密度が非常に高い海域です。
この記事では、その理由を黒潮の影響・地形・繁殖力・食性・人間活動といった観点から解説します。
釣果アップのヒントにもなるはずです。
1. 黒潮の影響と水温の安定性
南紀地方の最大の特徴は、黒潮が接岸する温暖な海域であることです。
- 年間を通じて水温が高く、冬でも15℃前後を維持。
- クサフグもグレも温暖な環境を好む魚であり、越冬が容易。
- 水温変動が少ないため、産卵や稚魚の生存率が高い。
特にグレは黒潮域を代表する魚で、南紀はまさに「天然の養殖場」といえる環境です。
2. 南紀特有の地形と潮流
南紀の海岸線はリアス式の複雑な地形で、磯・タイドプール・湾奥が豊富です。
- クサフグは浅場や砂地、藻場を好み、産卵も沿岸で行うため、南紀の入り江は絶好の繁殖場。
- グレは岩礁帯に群れ、藻類を食べる習性があるため、磯際の藻場が広がる南紀は理想的な生息環境。
- 潮流が複雑でプランクトンや小型甲殻類が豊富 → 餌資源が潤沢。
つまり、南紀の地形そのものが「フグとグレの楽園」を作り出しています。
3. 繁殖力と稚魚の生存率
クサフグ
- 一度に数万〜数十万の卵を産む高い繁殖力。
- 浅場に産卵するため、波の穏やかな湾や砂浜が多い南紀は最適。
- 天敵が少ない環境では稚魚が大量に生き残る。
グレ(メジナ)
- 一度の産卵で数十万〜数百万の卵を放出。
- 稚魚は潮だまりや藻場で成長しやすく、南紀のタイドプールは「天然の保育園」。
- 黒潮の栄養塩と日照時間の長さで藻類が豊富に育ち、稚魚の餌が尽きない。
結果として、他地域よりも圧倒的に稚魚の生存率が高いのです。
4. 食性と餌資源の豊富さ
- クサフグは雑食性で、ゴカイ・小型甲殻類・藻類など何でも食べる。南紀の磯際は餌が豊富で、フグが群れやすい。
- グレは藻類を主食とするが、小型甲殻類や付着生物も食べる。南紀の岩礁帯は海藻が繁茂し、まさに「食べ放題のレストラン」。
餌が豊富で競合も少ないため、個体数が爆発的に増えるのです。
5. 人間活動の影響
- 南紀は漁業圧が比較的低く、フグやグレは狙われにくい。
- 特にクサフグは食用価値が低いため、釣れてもリリースされることが多く、個体数が減らない。
- グレは人気ターゲットだが、繁殖力が強いため漁獲圧を上回る再生産が可能。
つまり「釣っても減らない」構造ができているのです。
6. 釣り人への実践的アドバイス
- クサフグ対策
- エサ取りが激しいため、コマセを多めに用意。
- ハリスを太めにしても食ってくるので、仕掛けを守る工夫が必要。
- グレ攻略
- 磯際の藻場を狙う。
- 季節ごとにエサを変える(夏はオキアミ、冬は海苔や配合エサ)。
- 群れが濃いため、時合を逃さなければ数釣り可能。
まとめ
南紀地方にクサフグとグレが異常に多い理由は、
- 黒潮による温暖で安定した水温
- 複雑な地形と豊富な藻場
- 高い繁殖力と稚魚の生存率
- 餌資源の豊富さ
- 人間活動による漁獲圧の低さ
これらが重なり合った結果です。釣り人にとっては「フグに悩まされる海」でありながら、
「グレが年中狙える海」でもあるのが南紀の魅力。
次に竿を出すときは、この背景を思い出しながら、フグをかわしつつグレを攻略してみてください。


