🟠1. メッキとは?──ヒラアジ類の幼魚の総称
「メッキ」とは、ロウニンアジ・ギンガメアジ・カスミアジ・クロヒラアジなどの幼魚をまとめた呼び名です。
秋になると黒潮に乗って南紀の沿岸に接岸し、河口・漁港・堤防などでルアー釣りの好ターゲットになります。
その銀色に輝く姿から「メッキ(鍍金)」と呼ばれ、釣り人に人気ですが、
彼らにはもう一つの名前があります──回遊死滅魚。
🟣2. 回遊死滅魚とは?
「回遊死滅魚」とは、暖海性の魚が黒潮などの暖流に乗って北上し、冬の低水温に耐えられず死滅する魚のことです。
メッキはその代表格。 秋に南紀へ接岸した後、冬の水温低下により本来の暖海域へ戻ることができず、ほとんどが命を終えるのです。
🟢3. なぜ南へ戻れないのか?
✅泳力の限界
- メッキは回遊力があるとはいえ、マグロやブリのような遠泳力はない。
- 黒潮の流れに逆らって南下するには、体力・サイズ・潮流の条件が厳しすぎる。
✅潮流の方向性
- 黒潮は北上する暖流。
- 一度北上した魚が南下するには、潮流に逆らうか、別の流れに乗る必要があるが、メッキにはそれが難しい。
✅水温の壁
- 冬の南紀の水温は15℃以下になることもあり、メッキの生存限界を下回る。
- 南下できないまま、低水温により衰弱・死滅する。
🔵4. 南紀のメッキの生存率は?
南紀に接岸したメッキのうち、越冬できる個体はごくわずかとされています。 研究や釣り人の観察によると、生存率は1〜5%未満が目安とされます。
一部の個体は湾奥や温排水エリアなどで一時的に越冬することもありますが、翌春まで生き残るケースは稀です。
▶️ 例:南紀で1000匹のメッキが接岸した場合、生き残るのは10〜50匹程度。
🟤5. 命への敬意──死滅回遊魚の哲学
メッキは、命を燃やすように秋の海を駆け抜ける魚です。 その多くは冬を越せず、命を終えます。
しかし、その命は釣り人に引きの楽しさ・食味の美しさ・自然の儚さを教えてくれます。
「死滅」とは、ただの終わりではない。 それは、命が海を旅した証なのです。
釣ったメッキを丁寧に扱い、美味しく食べることは、命への敬意を形にする行為。
釣り人は、海の哲学者としてその命と向き合うべきなのです。


