はじめに:誰もが感じる「海の匂い」の謎
海辺に立つと、ふわっと鼻をくすぐるあの独特な香り。
「潮の香り」「磯の匂い」と呼ばれるこの匂い、実は“海そのもの”が匂っているわけではありません。
この記事では、海の香りの正体とその科学的背景をわかりやすく解説します。
🔬海の香りの主役は「DMS(ジメチルスルフィド)」
- DMSとは? ジメチルスルフィド(DMS)は、海水中の植物プランクトンが作り出す化学物質。プランクトンが死んだり食べられたりすると、DMSPという物質が放出され、それをバクテリアが分解してDMSが生まれます。
- なぜ匂うのか? DMSは硫黄を含む揮発性分子で、人間の嗅覚が非常に敏感に反応します。ほんの微量でも「海の匂い」として感じられるのです。
🌬「海が匂う」のではなく「海水が匂い、風が運ぶ」
- 海水自体はほぼ無臭。しかし、DMSなどの香気成分が海面から揮発し、風に乗って私たちの鼻に届きます。
- 特に春から夏にかけてはプランクトンが活発になり、DMSの生成量が増加。潮風が強い日ほど香りを強く感じる傾向があります。
🪸磯の香りは海藻や微生物の仕業
- 岩場に近づくと感じる「磯臭さ」は、海藻や付着生物が放つ別の化学物質によるもの。
- 海藻の種類によって香りも異なり、紅藻はヨード臭、褐藻は海藻らしい香り、緑藻は爽やかな香りを放ちます。
☁️DMSは地球環境にも影響する?
- DMSは大気中で酸化され、雲の形成に関与することが知られています。これにより太陽光の反射率が高まり、地球温暖化の抑制にもつながる可能性があります。
🐦海鳥もDMSの匂いで餌を探す
- アホウドリなどの海鳥は、DMSの匂いを頼りにプランクトンの多い海域を見つけ、餌となる小魚を探します。まさに“香りの地図”を読み取っているのです。
まとめ:海の香りは生命の営みが生んだ自然のメッセージ
海の香りは、目に見えない微生物たちの活動によって生まれた化学物質の香り。
それを風が運び、私たちの感覚に届くのです。
次に海辺を訪れたときは、ぜひ深呼吸してみてください。
その香りの中には、地球の営みと命のつながりが詰まっています。


