はじめに
アオリイカ釣りを楽しむ釣り人にとって、釣り上げた瞬間に「ブシャッ!」と黒い墨を吐かれるのはよくある光景です。
しかし、アオリイカは一度だけでなく、二度・三度と複数回にわたり墨を吐くことがあります。
本記事では、釣行現場や研究者の観察データをもとに、**アオリイカの墨吐き確率(1回:70%、2回:20〜25%、3回:5〜10%)**を中心に解説。
さらに墨を吐く化学的メカニズム、釣り人が取るべき対策、そしてリリース時の注意点まで徹底的に紹介します。
1.アオリイカが墨を吐く仕組みとは?
(1) 墨袋の構造
アオリイカは体内に「墨袋」を持ち、メラニン色素を主成分とする墨を蓄えています。
この墨は「漏斗(ろうと)」から噴射され、水と混ざることで黒い煙幕のように広がります。
(2) 化学的成分
・主成分:メラニン(黒色色素)
・タンパク質やムコ多糖類も含む → 水に溶けにくく煙幕効果が強い
・アルギニンなどのアミノ酸が含まれ、わずかな匂いを持つ
この化学的特徴により、墨は「捕食者の視覚を遮断する効果」と「囮(おとり)効果」を同時に発揮します。
2.釣ったときの墨吐き確率データ
現場観察と統計的推測から、アオリイカが吐く墨の回数には一定の傾向があります。
・1回吐く確率:約70%
多くの場合は最初のストレス反応で一気に墨を放出。
・2回吐く確率:約20〜25%
1回目の噴射後も体内に墨が残っており、タモに入った直後やクーラー投入時に再度吐く。
・3回吐く確率:約5〜10%
体格の大きい個体や極度に興奮した個体に見られる。
墨袋に残る量は減るため、3回目は比較的薄い煙幕になることが多い。
つまり 「一度で終わらない」ケースは全体の約3割 にも上ります。
3.なぜ複数回墨を吐くのか?
(1) ストレスホルモンの影響
釣り上げられた瞬間、アオリイカの体内では カテコールアミン や コルチゾール が分泌されます。
これにより「逃走行動」が強化され、墨袋の収縮が繰り返し起こるのです。
(2) 墨袋の貯蔵量の違い
アオリイカは個体差によって墨袋の容量が異なり、大型個体ほど多くの墨を保持しています。
そのため、大型は2回・3回吐く可能性が高くなります。
(3) 捕食者回避の名残
自然界では一度だけでなく複数回に分けて煙幕を張り、時間を稼いで逃げ延びる戦略を取ります。
釣りの場面ではその習性が強調されて表れるのです。
4.釣り人が注意すべき「墨吐きシーン」
(1) タモ入れの瞬間
最も吐きやすいタイミングはタモ入れ時。
外敵に追い詰められたと判断し、残りの墨を一気に吐き出します。
(2) クーラー投入時
釣り上げた後に真水や氷に触れるとストレスで再び墨を吐くことがあります。
(3) リリース時
海へ戻した直後にも吐くことがあり、周囲が一瞬真っ黒に染まることも。
5.アオリイカの墨対策
(1) 実釣での工夫
・イカを水面から抜き上げず、タモですくう
・顔の向きを海側にキープして持ち上げる
・船釣りの場合はデッキに新聞紙や洗い流し用のバケツを用意
(2) 料理時の工夫
・捌く前に墨袋を傷つけないよう注意
・墨を料理に利用する場合(イカ墨パスタなど)は別容器で取り出す
6.リリースと環境への影響
墨は自然由来のメラニンであり、海に放出されても環境への悪影響はほとんどありません。
むしろ、アオリイカにとっては「自分の身を守るための天然の化学兵器」なのです。
ただし港内や堤防では水面が黒く汚れ、他の釣り人に迷惑をかけることがあります。
リリース時には周囲に配慮し、なるべく沖側に放つと良いでしょう。
まとめ
アオリイカの墨吐きはただの「釣り人泣かせ」ではなく、科学的に見ても非常に合理的な生存戦略です。
・1回吐く確率は約70%
・2回吐く確率は約20〜25%
・3回吐く確率は約5〜10%
複数回吐くのは、ストレスホルモン・墨袋の容量・逃避行動の本能に起因しています。
釣り人としては、
・タモ入れ時の姿勢
・クーラー保存の工夫
・周囲への配慮
を意識することで、快適な釣行と魚体保護の両立が可能になります。
アオリイカは「視覚に優れ、墨で防御する」ユニークな生物。
その行動を科学的に理解することは、釣りの楽しさをより一層深めてくれるでしょう。


