1. はじめに
「酸素は森が作っている」というイメージを持っている人は多いですが、実はそれは半分正解で半分誤解です。
最新の研究によると、地球の酸素の50〜70%は、海の植物プランクトンによって生み出されているのです。
この小さな存在がなければ、私たち人間も、多くの動物も、そして陸上の植物すら生きていけません。
今回は、この酸素供給の主役である海の植物プランクトンについて、科学的に解説します。
2. 植物プランクトンとは?
植物プランクトンとは、海や湖など水中に漂う光合成を行う微細な生物の総称です。
大きく分けると以下のような種類があります。
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珪藻(けいそう):ガラス質の殻を持ち、海洋の一次生産者として有名。
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渦鞭毛藻(うずべんもうそう):潮の色を変える赤潮の原因にもなるが、酸素供給にも大きく貢献。
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シアノバクテリア(ラン藻):地球最古の光合成生物とされ、酸素大気を誕生させた立役者。
3. 酸素を生み出す仕組み
植物プランクトンは、陸上植物と同じように光合成を行います。
光合成では、太陽光・二酸化炭素(CO₂)・水を使って、有機物を作り出し、副産物として酸素を放出します。
光合成の基本式
二酸化炭素(CO₂)+水(H₂O)+光エネルギー
→ 有機物(糖など)+ 酸素(O₂)
この酸素が海水中に溶け込み、一部は大気中に放出されます。
4. なぜ海の酸素生産量が多いのか?
・地球表面の約70%が海
広大な面積を持つ海が、膨大な光合成の舞台になります。
・水中でも太陽光が届く層(有光層)が広い
海の表層100m以内は光が届き、植物プランクトンが活動できる環境が整っています。
・大量発生と短い世代交代
植物プランクトンはわずか数日で増殖と死滅を繰り返すため、生産効率が非常に高いです。
5. 森林との比較
| 酸素供給源 | 酸素生産割合 | 主な場所 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 海の植物プランクトン | 50〜70% | 世界中の海 | 小さいが数が圧倒的に多い |
| 陸上の森林(アマゾンなど) | 30〜50% | 陸地 | 酸素供給に加え二酸化炭素の吸収にも貢献 |
※割合は季節や海況により変動します。
6. 地球環境とプランクトンの危機
近年、地球温暖化や海水温上昇、酸性化によって植物プランクトンの量が減少傾向にあります。
これが進むと、地球の酸素供給能力が低下し、生態系全体に影響を及ぼす恐れがあります。
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海水温上昇 → 光合成効率の低下
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海洋酸性化 → 一部プランクトンの殻が溶けやすくなる
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汚染や赤潮 → 生態バランスの崩壊
7. 私たちができること
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CO₂排出削減(省エネ、再生可能エネルギー利用)
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プラスチックごみ削減(海洋汚染対策)
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持続可能な漁業を選ぶ(海の食物連鎖を守る)
8. まとめ
地球の酸素の過半数を作っているのは、森だけではなく海の小さな植物プランクトンです。
彼らの存在は見えませんが、私たちの呼吸のたびに、その恩恵を受けています。
海を守ることは、酸素を守ること。
つまり私たちの命を守ることに直結しています。


