スーパーや魚市場で見かける**「タコ足」と「イカ下足」**。
同じ軟体動物の仲間で、見た目も似ているのに、なぜ呼び方が違うのか疑問に思ったことはありませんか?
実はこれ、生物学的な構造の違いと、日本語の歴史的な用語の使われ方に理由があります。
① 「足」と「下足(げそ)」の違い
-
足(あし):歩く・這う・移動するための器官
-
下足(げそ):イカやタコなどの頭足類の、腕全般を指す言葉(特にイカの場合に使うことが多い)
日本語では、タコの場合は単純に「足」と呼び、イカの場合は「ゲソ」という呼称が一般的になっています。
しかし、この違いは単なる言い回しの差ではなく、生態と解剖学的構造の違いに根ざしています。
② タコは「足」と呼ばれる理由
1. 移動に足を多用する
タコは海底を歩くように移動します。
吸盤の付いた8本の腕を使って岩や海底を這い回るため、見た目にも「足」としての印象が強くなりました。
2. 捕食行動よりも移動補助の役割が大きい
もちろんタコも足で獲物を捕らえますが、移動や物を押さえる動作にも頻繁に使います。
結果として、日本語では自然に「タコの足」という表現が根付いたと考えられます。
③ イカは「下足(げそ)」と呼ばれる理由
1. イカの主な移動は「泳ぎ」
イカは体内の漏斗(ろうと)から海水を噴射して推進します。
そのため、8本の短い腕はほぼ歩行には使われず、捕食用の器官としての役割が強いです。
2. 「腕足」のうち上部は「触腕」
イカには8本の短い腕(短足)と、2本の長い触腕(しょくわん)があります。
触腕はエサを捕まえる専用の「槍」のようなもので、短い腕(下部にある腕)と区別されました。
3. 江戸時代の魚市場での呼び方
江戸時代の市場では、イカの身(胴体)と下部の足を分けて販売する習慣がありました。
この下部の足を**「下足(げそ)」**と呼び、それが現在まで残っています。
④ 「ゲソ」という言葉の由来
「ゲソ」は元々は漢字で下足と書き、「靴や草履の代わりに履くもの」という意味もありました。
市場では、胴体=本体に対し、下に付いている足部分を「下足」と呼び、これが転じてイカの足=ゲソになったのです。
⑤ 生物学的なまとめ
| 生物 | 腕の本数 | 特徴 | 呼び方の由来 |
|---|---|---|---|
| タコ | 8本(同じ長さ) | 歩行・捕食・固定など多用途 | 足の役割が多いため「足」と呼ぶ |
| イカ | 10本(短い腕8本+長い触腕2本) | 泳ぎ主体、短腕は捕食補助 | 市場用語の「下足(ゲソ)」が定着 |
⑥ 釣り人・料理人に役立つポイント
-
釣りエサとして使う場合、イカゲソはエビや小魚を模す動きが出やすい
-
タコ足は太く丈夫で、煮込み料理や刺身用に適している
-
市場で「ゲソ」と書いてあれば基本的にイカの下腕部分のこと
まとめ
タコが「足」、イカが「下足(ゲソ)」と呼ばれるのは
-
移動方法の違い
-
腕の構造と用途の差
-
市場・料理文化の影響
が重なった結果です。
この違いを知ると、釣りや料理の際に魚介類の扱い方や調理法をより深く理解できます。


