夏になると「刺身は危ないからやめた方がいい」「加熱調理すれば安全」と言われることがよくあります。
このアドバイスは一理ありますが、すべてが正しいとは限りません。
本記事では、夏の魚介類の食中毒リスクと火を通すことの安全性について、科学的・実用的な視点からわかりやすく解説します。
1.なぜ夏は刺身が危険と言われるのか?
・高温多湿で菌が増えやすい季節
→ 夏は気温も湿度も高く、食中毒菌(腸炎ビブリオ・サルモネラ・大腸菌など)が繁殖しやすい環境が整っています。
・釣りたて・買いたてでも危険?
→ 実は魚の表面や内臓には、もともと菌が存在しています。鮮度が良くても保存や処理を間違えると、菌が爆発的に増殖します。
・腸炎ビブリオの最適増殖温度は30℃前後
→ 特に腸炎ビブリオは海水魚に多く、真水に弱いが、海水温が高い夏場はリスクが増加します。
2.刺身は「冷たくて安全そう」だが…
・冷やしているつもりでも、表面温度は室温に近づく
→ 氷で冷やしていても、調理中や盛り付け中に菌が繁殖するリスクはゼロではありません。
・「締めたて」は安心?
→ 締めた直後の魚でも、内臓に触れた包丁やまな板から菌が移ることもあります。
・生食用の魚には厳しい衛生基準がある
→ 市販の刺身は一定の管理下で処理されていますが、自分で釣った魚や市場で購入した魚は衛生処理が不十分な場合もあります。
3.火を通せば安心?基本的には「YES」
・多くの細菌や寄生虫は加熱で死滅
→ 一般に「中心温度75℃で1分以上加熱」すれば、ほとんどの菌や寄生虫は死滅します。
・アニサキスも加熱に弱い
→ 寄生虫の代表格アニサキスも、60℃以上で数秒加熱すれば死滅します。冷凍処理でもOK(−20℃で24時間)。
・家庭での加熱調理は「火の通り」をチェック
→ 厚みのある魚は中心部までしっかり火を通すことが大切。
4.加熱しても油断できないケースもある
・調理器具の汚染
→ 包丁、まな板、トングなどが生魚の菌を加熱後の魚に再付着させる「二次汚染」に注意。
・冷蔵庫の保存温度が甘いと危険
→ 加熱後の料理も、常温放置はNG。速やかに冷蔵保存(4℃以下)が鉄則。
・フグや毒魚類は加熱してもNG
→ フグ毒(テトロドトキシン)など一部の自然毒は加熱では分解されません。これらは調理免許が必要。
5.じゃあどうすれば?夏に魚を安全に食べるポイント
・釣り魚を持ち帰る際は海水氷で急冷
→ 真水氷より海水氷の方が鮮度劣化を防ぎ、腸炎ビブリオの繁殖を抑えやすい
・自宅での下処理は「すぐに内臓処理&洗浄」がカギ
→ 魚体表面をよく洗い、まな板・包丁もその都度洗浄・消毒
・加熱調理が基本
→ 特に家族に高齢者や小さな子供がいる場合は、煮魚・焼き魚・フライなど加熱調理を選びましょう
・刺身で食べる場合は「自己責任」で
→ 十分に冷やし、内臓に触れない部位を使用するなど工夫が必要です
まとめ:夏の魚は「火を通す」が基本!刺身は慎重に判断を
夏場は魚が傷みやすく、細菌の繁殖スピードも桁違いです。
「加熱すれば安心」は基本的には正しいですが、調理器具や保存方法に注意しないと二次汚染で食中毒を起こす可能性があります。
一方、刺身で食べたいという人も多いでしょう。
その場合は徹底した温度管理・衛生管理が不可欠です。
夏の魚は美味しいけれど、食べ方を間違えると危険。
釣った魚も、買った魚も、扱い方次第でリスクを下げられます。
「火を通せば安全」の裏にある落とし穴を知り、正しく調理して夏の魚を楽しみましょう!


