1. 浮袋(ガス膀胱)とは?
- 浮袋は魚が水中で浮力を調節するための器官です。
- 内部にはガス(主に酸素や窒素)が含まれており、魚はこのガスの量を調節することで、水中での浮き沈みをコントロールします。
2. 喉から飛び出る理由
釣り上げた際に浮袋が喉から飛び出すのは、水圧の変化によるものです。
水圧の仕組み
- 水深が深いほど水圧が高くなります(10メートルごとに1気圧増加)。
- 深海魚や根魚は高水圧の環境に適応しており、浮袋のガスは圧縮された状態で存在します。
急激な浮上による影響
- 魚を釣り上げる際、深い場所から短時間で水面まで移動すると、水圧が急激に低下します。
- 水圧が低くなると、浮袋内のガスが膨張します(ボイルの法則: 圧力が低いほど体積が増加する)。
- 膨張した浮袋が体内に収まりきらず、口や喉から飛び出してしまいます。
3. その他の症状
急激な水圧変化により、以下のような症状が現れることがあります:
- 眼球の突出: ガス膨張により目が飛び出す。
- 内臓の飛び出し: 肛門や口から内臓が押し出される。
- 体の膨張: 特に深海魚では体全体が膨らむことがある。
4. 影響と対処法
魚への影響
- 浮袋が飛び出す現象を「減圧症」と呼び、魚にとっては非常にストレスが大きい状態です。
- この状態のままリリースすると、魚は自力で深場に戻れない場合が多く、最悪の場合死亡してしまいます。
対処法
- 減圧針の使用:
特殊な針を使って浮袋に小さな穴を開け、ガスを抜くことで魚が再び潜れるようにします。 - リリースウエイト:
重りを使って魚をゆっくりと水深に戻す方法があります。これにより、魚は自然に水圧に適応できます。 - 即座に食べることを検討:
魚にダメージが大きい場合、持ち帰って美味しく調理するのも一つの選択肢です。
5. 根魚や深海魚で起こりやすい理由
- 深海魚や根魚(例: アコウ、カサゴ、キンメダイなど)は、深場の高水圧環境に適応しているため、急激な水圧変化に弱いです。
- 浅い場所に生息する魚(アジやサバなど)は、浮袋が小さく、同じ現象が起こりにくいです。
結論
喉から飛び出ているのは、急激な水圧変化で膨張した浮袋が原因です。
釣り上げた魚をリリースする場合は減圧処理を行うと、魚を保護できる可能性が高まります。
特に深海魚や根魚を狙う釣りでは、水圧に配慮した釣り方やリリース方法を意識することが重要です。


