活〆(いきじめ)と神経締め(しんけいじめ)はどちらも魚の鮮度を保つための方法ですが、
神経締めの方が良いとされる理由は科学的な観点から以下のように説明できます。
1. 活〆と神経締めの違い
- 活〆: 魚を素早く締め、血抜きを行うことで鮮度を保つ。
- 神経締め: 活〆の後、さらに神経を破壊する工程を追加し、魚の神経反射による筋肉の動きを完全に止める。
2. 神経締めの科学的な利点
(1) アデノシン三リン酸 (ATP) の保持
- 魚の筋肉に含まれるATPは、旨味成分であるイノシン酸の元となる物質。
- 神経締めを行うと、筋肉の無駄な収縮を抑えるため、ATPが速やかに消耗されず、結果的に旨味の生成が持続しやすくなる。
(2) 乳酸の抑制
- 活〆だけでは、死後硬直に伴う筋肉の収縮が起こり、乳酸が生成されます。
- 乳酸が増えると筋肉のpHが低下し、鮮度や味わいに影響を与えるため、神経締めでこれを抑えることが重要です。
(3) 肉質の変化を防ぐ
- 魚の神経が活性化したままだと、死後硬直が早まり、肉質が硬くなります。
- 神経締めによって神経信号を遮断することで、筋肉が穏やかに硬直し、柔らかく食感の良い状態を保てます。
(4) 腐敗の遅延
- 神経を切断することで、筋肉への不要な刺激が抑えられ、細菌の増殖を遅らせる効果があります。
- 特に血抜きと併用すると、腐敗の進行をさらに抑制できます。
3. 味と食感への影響
- 神経締めを行った魚は、死後硬直が穏やかで、肉がしっかり締まりつつ柔らかい。
- イノシン酸などの旨味成分がしっかりと生成され、刺身や寿司で食べるときに特にその違いが顕著に現れます。
4. 科学的なデータ
- ある研究では、神経締めを行った魚は、活〆のみの魚よりも鮮度保持期間が長いことが示されています。具体的には、温度管理が同じ条件であっても、神経締めの魚は2〜3日程度鮮度が長持ちすると報告されています。
5. 活用シーンと適用の注意点
- 神経締めは、特に高級魚や刺身で食べる魚(タイ、ヒラメ、ブリなど)に効果的。
- ただし、工程に手間がかかるため、大量に処理する場合や時間がない場合には活〆が選ばれることもあります。
結論
神経締めは、鮮度保持、旨味の向上、肉質の保護、腐敗抑制という科学的根拠に基づき、活〆より
も優れているとされています。
時間や手間はかかりますが、美味しい魚を最大限に引き出すためには理にかなった方法といえるでしょう。


