夜釣りに慣れてくると必ず耳にするのが「海面を照らしてはいけない」という教えです。
初心者の方にとっては、足元や海の状態を確認したい時に、なぜダメなのか不思議に思うかもしれません。
結論から言えば、ヘッドライトで海を照らすと魚が逃げるというのは、多くの場面で「真実」です。
今回は、その理由と、魚にプレッシャーを与えないためのライトマナーについて詳しく解説します。
なぜ魚は光を嫌うのか?
魚にとって、夜の暗闇は外敵から身を守るためのカーテンのようなものです。
そこに突然、強烈な人工の光が差し込むと、魚は驚いてパニックを起こしたり、その場から離れてしまったりします。
1. 「明暗の境目」が崩れる
多くの魚は、光の当たっている明るい場所と、影になっている暗い場所の「境目」に潜んで獲物を狙っています。
人間がライトで海面を不用意に照らすと、この絶妙な明暗のバランスが崩れ、魚の警戒心を一気に高めてしまいます。
2. 人間の存在を察知される
光そのものだけでなく、光を動かすことで人間の影が大きく水中に映り込むこともあります。
魚は「動く影」に対して非常に敏感で、大きな外敵が近づいてきたと判断して逃げていくのです。
「光に集まる魚」もいるのではないか?
確かに、アジやメバルなどは常夜灯の周りに集まる「正の走光性」という性質を持っています。
しかし、これと「ヘッドライトの光」は全くの別物と考えましょう。
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常夜灯: 常に同じ場所を同じ強さで照らし続けているため、魚がその環境に慣れ、餌となるプランクトンが集まる。
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ヘッドライト: 突然、激しく動きながら強い光が当たるため、魚にとっては「異常事態」でしかない。
一度ライトを当てて魚が散ってしまうと、再びポイントに寄ってくるまでにはかなりの時間を要します。
魚を逃がさないための「ライトマナー」
夜釣りの釣果を伸ばし、周囲の釣り人とトラブルを避けるための基本ルールを紹介します。
海面に向けて点灯させない
移動中や仕掛けの準備をする際は、必ず海に背を向けて、陸側を照らすようにしましょう。 海面を横切るように光を這わせるのは厳禁です。
赤色LEDを活用する
多くの魚は、赤い光の波長を認識しにくいと言われています。
手元を照らす際は、白色LEDではなく「赤色モード」に切り替えて使うことで、水中の魚への影響を最小限に抑えることが可能です。
必要な時だけ「最小限」に
移動時は足元の安全のために光が必要ですが、キャスト(投げる)の際や、魚を待っている間は消灯するのが基本です。
明るすぎるルーメン設定も避け、状況に応じた調光を心がけましょう。
例外的に光が必要な場面
もちろん、どうしても光を使わなければならない場面もあります。
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魚を取り込む(ランディング)時: タモ網を入れる場所を確認するために必要です。ただし、この時も必要最小限の範囲に留めます。
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自身の安全確保: 磯場や足場の悪い場所では、マナーよりも安全が優先です。命に関わる場面では、躊躇せずライトを使用してください。
まとめ
「海面を照らさない」というルールは、単なるマナーではなく、魚との知恵比べに勝つための戦略でもあります。
魚の警戒心を解き、自然な状態で餌を食わせるためには、光のコントロールが欠かせません。
次の夜釣りでは、自分のライトがどこを向いているか、少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。

