「夏のチヌは臭いからリリースする」。
もしそんな風に思っているなら、正直もったいないことをしている。
断言するが、チヌ(クロダイ)自体が強烈に臭いわけじゃない。
「持ち帰り方」と「処理」で、その味は天と地ほど変わるからだ。
今回は、長年の現場経験と釣太郎のノウハウを元に、臭いが消えるプロセスを数値化してみた。
臭いの原因を100とした場合、どの工程でどれだけ臭いが落ちるのか。
この「消臭の方程式」さえ頭に入れておけば、これからのチヌ釣りはもっと楽しくなるはずだ。
1.現場での「血抜き」:臭い40%減
まずは釣った直後、現場での処理だ。
ここで勝負の4割が決まる。
心臓が動いているうちにエラ膜を切り、海水の中で振って血を出し切る。
たったこれだけの作業で、体中に回るはずだった「生臭さの元凶(血液)」が排出される。
血が回ってしまった身は、後からどんなに洗っても独特の鉄臭さが抜けない。
「釣れたら即、血抜き」。
これをサボらないだけで、あの嫌な臭いの40%はカットできる。
2.帰りの「海水氷」:臭い40%減
ここが一番、多くの人が見落としているポイントだ。
釣太郎がしつこいくらい推奨している「海水氷(かいすいごおり)」。
クーラーボックスに砕いた氷を入れ、海水を注いでシャーベット状にした、あのキンキンの液体だ。
ここに魚をドブ漬けにする。
この効果は計り知れない。
真水じゃなく、塩分濃度を保ったまま、マイナスの温度で芯まで一気に冷やす。
これで鮮度落ちによる新たな臭いの発生を完全にストップさせる。
さらに、海水氷の中で魚が揉まれることで、体表のヌメリや汚れも洗い流される。
チヌ独特の磯臭さは、実は皮目のヌメリに多く含まれているからだ。
この「冷却」と「洗浄」で、さらに40%の臭いが消え去る。
つまり、家に帰る前の時点で、すでに80%の臭い対策は完了していることになる。
3.食べる前の「塩締め」:臭い20%減
最後は、包丁を入れる時のひと手間だ。
3枚におろして、皮を引いたサクの状態にする。
そこにパラパラと塩を振る「塩締め」を行う。
10分〜20分ほど置くと、表面に水分が浮いてくるはずだ。
これが、身の奥に残っていた最後の「臭み成分」である。
浮き出た水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取る。
これで残りの20%も完全にシャットアウトだ。
この工程を経たチヌの刺身は、ねっとりとした旨味だけが残り、臭みなど微塵も感じさせない。
結論:合計80〜95%は軽減できる
血抜き(40%)+海水氷(40%)+塩締め(20%)。
この3ステップを踏めば、計算上はほぼ全ての臭いが消えることになる。
「チヌは臭い」という常識は、処理を知らない人が作った迷信みたいなものだ。
騙されたと思って、一度フルコースで試してみてほしい。
真鯛にも負けない、極上の白身が待っている。
おいしく食べるための氷も、締め具も、釣太郎ですべて揃う。
次回の釣行から、ぜひ実践を。

