南紀の海でもお馴染み、あの「胸ビレがやたらと長いマグロ」について、今日はお話ししましょうか。
釣り人の間では「トンボ」なんて愛称で呼ばれていますが、正式名称は「ビンナガ」。
回転寿司では「ビンチョウマグロ」なんて名前で回っていますよね。
実はこの魚、知れば知るほど奥が深く、私たちの食卓にも深く関わっている面白い魚なんです。
今回は、どこよりも詳しく、そしてマニアックにこの魚の正体を暴いていきますよ。
■名前の由来は「長い◯◯」にあった
まず、なぜ「ビンナガ」なのか。
漢字で書くと「鬢長」。
魚の「もみあげ(鬢)」にあたる部分、つまり胸ビレが非常に長いことから、この名がつきました。
そして、その長いヒレを広げて泳ぐ姿が「トンボ」に見えることから、釣り人の間では「トンボ」や「トンボシビ」と呼ばれて親しまれています。
空を飛ぶトンボと同じ名前なんて、なんだか風情がありますよね。
■意外と知らない?ビンナガの寿命と生態
さて、ここから少し深掘りしてみましょう。
みなさんは、この魚がどれくらい生きるかご存知ですか?。
実は、ビンナガの寿命はおよそ10年から12年と言われています。
マグロの王様・クロマグロが20年以上生きるのに比べると、少し短命な印象を受けるかもしれませんね。
成長スピードは意外とのんびり屋さんで、1歳で約30センチ、2歳で50センチほど。
私たちがよく目にする1メートルクラスの立派なサイズになるには、5〜6年の歳月がかかっているんです。
広い海を何年も旅して、南紀の海までやってきてくれたと思うと、釣り上げた時の感動もひとしおですよね。
■食卓の救世主!その用途とは?
「ビンナガなんて、安っぽいマグロでしょ?」なんて思っていませんか。
とんでもない。
実はこの魚、私たちの生活になくてはならない存在なんです。
世界的に見ると、ビンナガは**「缶詰の王様」**。
そう、あの「シーチキン」の最高級原料として使われているのが、このビンナガなんです(缶にはホワイトミートと書かれています)。
加熱しても身が硬くなりすぎず、鶏肉のような食感になることから「シー(海)のチキン(鶏)」と名付けられたという説もあるくらいですから。
もちろん、生食も最高です。
身が柔らかく、淡白な味わいは、脂っこいのが苦手な方にも大人気。
特に冬場、脂が乗った「ビントロ」は、口の中でとろけるような甘みがあり、本マグロにも負けないファンを持っています。
■気になる市場価値とお値段
最後に、やっぱり気になる「お金」の話を少しだけ。
市場価値としては、クロマグロやミナミマグロに比べると、やはり安価に取引されています。
だからこそ、回転寿司やスーパーで手軽に手に取ることができる「庶民の味方」なんですね。
しかし、侮るなかれ。
近年、世界的な健康志向や和食ブームで、需要は右肩上がり。
特に、釣り上げられてすぐに適切な処理(血抜きや冷やし込み)をされた鮮度の良い「釣りモノ」のトンボは、市場でも高値がつきます。
私たち釣り人が釣った、ピカピカのトンボ。
これは、スーパーに並ぶものとは「別格の価値」があると言っても過言ではありません。
■まとめ
トンボ(ビンナガ)は、ただの「安いマグロ」ではありません。
長いヒレで大海原を旅し、缶詰からお寿司まで、私たちの食生活を支えてくれる偉大な魚です。
もし今度、釣太郎の近くでトンボが釣れたら、その長い旅路と、隠されたポテンシャルに思いを馳せてみてください。
そして何より、自分で釣って食べる「ビントロ」の味は、世界中どこを探しても買えない、プライスレスな美味しさですよ。
南紀の海で、あの強烈な引きを味わってみませんか?。

