はじめに:アジの価値は「スピード」で変わる
「釣りたてのアジは美味しい」というのは間違いありません。
しかし、実は「釣りたて」なら何でも美味しいわけではないのです。
アジの品質、そして最終的な美味しさは、**「釣った後の数分間」**の処理で9割が決まってしまいます。
せっかく釣った良型のアジ、スーパーで買うものとは次元の違う美味しさで食べたくはありませんか?
今回は、アジの旨みを最大限に引き出すための「海水氷(潮氷)」を使った締め方と持ち帰り方をご紹介します。
なぜ「釣った後の数分」が重要なのか?
アジは非常にデリケートな魚です。
釣り上げられた直後、魚は激しく暴れます。
この時、魚の体内ではエネルギーが大量に消費され、旨み成分の元となるATP
(アデノシン三リン酸)が減少してしまいます。
また、暴れることで身に乳酸が溜まり、酸味が出たり、身質の劣化が急速に進みます。
さらに、地面でバタバタと暴れさせることで、身割れや内出血を起こすこともあります。
つまり、**「いかに暴れさせず、瞬時に活動を停止させる(締める)か」**が勝負なのです。
釣ってから針を外し、クーラーボックスに入れるまでの「数分間」の手際が、食卓での評価を決定づけます。
最強の保冷法「海水氷(潮氷)」とは
アジを締める方法として、最も簡単かつ効果的なのが「氷締め」です。
しかし、単に氷を入れたクーラーボックスに魚を入れるだけでは不十分です。
ここで登場するのが**「海水氷(かいすいごおり)」**です。
別名「潮氷(しおごおり)」とも呼ばれます。
海水氷の作り方
作り方は非常にシンプルです。
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クーラーボックスにたっぷりの氷を入れる。
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そこに海水を注ぎ入れる。
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かき混ぜてキンキンに冷えたシャーベット状の水を作る。
これだけです。
ポイントは、海水を入れることで氷の隙間を埋め、魚全体を液体で包み込むことです。
固体の氷だけでは、魚に当たっている部分しか冷えず、冷却ムラが起きます。
海水氷にすることで、熱伝導率が高まり、魚の体温を一瞬で奪って芯まで冷やすことができます。
これが「即殺」に近い効果を生み、鮮度低下を食い止めます。
真水(水道水)の氷水ではダメな理由
「水道水と氷でもいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、これは刺身で食べるなら避けるべきです。 魚の体液と真水では「浸透圧」が異なります。
真水の氷水に魚を入れると、浸透圧の違いにより、魚の細胞内に水分が入り込んでしまいます。
その結果、身が水っぽくなり(水ふくれ)、旨みが薄まり、食感もブヨブヨになってしまうのです。
必ず「海水」を使用するか、釣太郎で販売しているような濃度の調整された塩水氷を使用してください。
釣太郎流:美味しいアジの持ち帰り手順
それでは、現場での具体的な手順を整理しましょう。
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釣る前に「海水氷」を用意しておく 魚が釣れてから準備していては手遅れです。 釣行開始時に必ず作っておきましょう。
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釣れたら素手で触らず針を外す 人間の体温(約36度)は、魚にとっては火傷するような熱さです。 魚バサミ等を使い、極力魚体に触れないようにします。
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生きたまま「海水氷」へドボン サバ折りやナイフでの血抜きは、アジのような小型~中型魚の場合、手際よくやらないと逆に身が傷みます。 海水氷による「氷締め」が最も失敗が少なく、確実です。 エラ蓋が開き、完全に動かなくなるまでしっかり冷やします。
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持ち帰る際は水を抜く(長時間の場合) 長時間海水氷に漬けすぎると、目が白くなったり、塩辛くなりすぎることがあります。 魚が完全に冷えて死んだら(30分~1時間程度)、海水を抜き、砕いた氷を魚の上下に敷き詰める形に切り替えるとベストです。
まとめ:氷へのこだわりが味へのこだわり
「たかが氷、されど氷」。
このひと手間を惜しまないだけで、アジの透明感、歯ごたえ、脂の甘みは劇的に変わります。
ぜひ次回の釣行では、万全の海水氷を用意して、最高のアジを味わってください。
釣太郎みなべ店では、魚の鮮度保持に最適な**「海水氷(1kg 200円~)」**を販売しています。
釣り場へ向かう前に、ぜひお立ち寄りください。 最高の状態で持ち帰ったアジの味は、釣り人だけの特権です。

