透き通った海の中、ゆらゆらと泳ぐグレの姿が見える。
「これなら釣れるはず!」と意気込んで仕掛けを投入しても、なぜかサシエサだけが見切られてしまう。
フカセ釣り初心者なら誰もが一度は経験する、悔しい瞬間ではないでしょうか。
よく「魚が見えている時は、魚からも人間が見えているから釣れない」と言われます。
果たしてこれは本当なのでしょうか?
今回は、フカセ釣り入門として「見えグレ」と釣り人の距離感、そして攻略のヒントについて解説します。
グレが見えている時、向こうからも見えているのか?
結論から言うと、**「かなり高い確率で、グレからは釣り人の姿が見えている」**と考えたほうが良いでしょう。
水中から陸上を見る場合、水の屈折率の関係で「スネルの窓(円形窓)」と呼ばれる視界が広がっています。
魚が水面近く(浅いタナ)に浮いている時ほど、この窓を通じて陸上の景色が広く見えてしまいます。
つまり、堤防や磯の際(きわ)に立って海を覗き込んでいるあなたの姿は、グレにとって丸見えである可能性が高いのです。
「あ、人間がいるな」と気づいたグレは警戒モードに入ります。 これが、見えグレがなかなか口を使わない大きな理由の一つです。
なぜ「見えグレ」は釣りにくいのか?
姿が見られていること以外にも、見えている魚が釣れない理由があります。 主な原因は以下の3点です。
1. エサの動きが不自然
浅い場所にいるグレは、落ちてくるコマセ(撒き餌)の動きをよく見ています。
コマセは潮に乗って自然に漂いますが、サシエサには「ハリス」や「道糸」が付いています。
釣り人が糸を張りすぎたり、波の影響を受けると、サシエサだけが不自然な動きをしてしまい、見切られてしまいます。
2. 仕掛け(ハリス・針)が見えている
水が澄んでいて魚が見えるということは、逆に言えば**「魚からも糸がよく見える」**ということです。
太いハリスや、キラキラ光る針は、警戒心の強いグレにとって違和感の塊でしかありません。
3. そもそも「食事モード」ではない
見えているグレの中には、ただ日向ぼっこをしているだけや、遊んでいるだけの個体もいます。
これらはどれだけ美味しいエサを目の前に通しても、反応しないことがあります。
「見えグレ」を攻略するための3つの対策
では、見えているグレは諦めるしかないのでしょうか? いいえ、工夫次第でスイッチを入れることは可能です。
初心者がすぐに実践できる3つの対策をご紹介します。
① 釣り座の立ち位置を下げる・下がる
基本中の基本ですが、最も効果的です。
水辺ギリギリに立つのではなく、一歩後ろに下がりましょう。 磯場であれば、高い場所に立たず、低い位置に構えるのも有効です。
こちらの姿を物理的に隠すことで、魚の警戒心を解きます。
また、派手な色のウェアを避けたり、静かに動くことも重要です。
② ハリスを細く、針を小さくする
魚に「糸」を意識させない工夫です。
普段1.7号や2号のハリスを使っているなら、思い切って1.2号や1.5号まで落としてみてください。
針も、小磯針やグレ針の小針(3号~4号)に変えることで、エサの動きがより自然になり、食い込みが良くなります。
ただし、細くすると切れやすくなるので、やり取りは慎重に行いましょう。
③ マキエとサシエを完璧に同調させる
見えているグレは、マキエ(撒き餌)の中に紛れ込ませたサシエサしか食べないことが多いです。
仕掛けを投入するタイミングと、マキエを撒くタイミングを合わせる**「同調」**を意識してください。
「マキエを撒く→そのど真ん中に仕掛けを入れる→さらに上からマキエを被せる」 このサンドイッチ釣法で、魚を騙しましょう。
まとめ:見えている魚との知恵比べを楽しもう
「見えている魚は釣れない」というのは、あながち間違いではありません。
しかし、向こうが警戒している理由を知り、それに対する対策を打てば、釣果に繋がるチャンスは十分にあります。
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水際から一歩下がる(姿を隠す)
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仕掛けを繊細にする(違和感を消す)
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マキエと同調させる(自然に見せる)
まずはこの3つを意識して、賢いグレとの知恵比べを楽しんでみてください。
見えている魚が自分のエサをパクっと食べた瞬間の興奮は、フカセ釣りならではの醍醐味です。
ぜひ次回の釣行で試してみてください。

