大抵の魚は、活き締めをしてしっかりと血抜きをすれば美味しく食べることができます。
一般的に「マズい」と言われている魚の多くは、実は魚種そのものの味ではありません。
網にかかって暴れ回り、酸欠状態で苦悶死した、いわゆる「野締め」の状態だからマズいのです。
残念なことに、その最悪の状態で食べた印象だけで「この種類の魚は美味しくない」と
レッテルを貼られているケースが非常に多いのが現実です。
今回は、釣り人だけが知っている「魚の本当のポテンシャル」と、それを引き出す処理についてお話しします。
なぜ「網で死んだ魚」は味が落ちるのか?
スーパーに並ぶ魚や、定置網で獲れた魚の中には、身が白っぽくボケていたり、
生臭みが強かったりするものがあります。
これは、魚が死ぬ直前の状態に大きな原因があります。
網の中で暴れ回ると、魚は筋肉中のエネルギー(ATP)を急激に消費します。
このATPこそが、死後に「イノシン酸」という旨味成分に変わる重要な物質です。
暴れて死んだ魚は、旨味の元がすっからかんの状態なのです。
さらに、暴れることで体温が急上昇し、身が焼けたような状態になります。
そして酸欠で苦しみながら死ぬと、全身の毛細血管に血が回ったまま凝固します。
これが、強烈な生臭さの原因となります。
つまり、魚本来の味ではなく、「血と疲労の味」を食べているようなものなのです。
「活き締め・血抜き」で別次元の味になる
一方で、我々釣り人には最強の武器があります。 それが「釣った直後の処置」です。
釣り上げてすぐに脳天を締めて即死させ、エラ膜を切って海水で振って血を抜く。
たったこれだけの作業で、魚の味は劇的に変わります。
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エネルギー(旨味の元)が温存される。
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体温が上がる前に冷やせる。
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臭みの元凶である血液が排出される。
この処理をした魚は、臭みがないだけでなく、透明感のある身質を保ちます。
そして、数日寝かせて熟成させ、旨味を引き出すことも可能になるのです。
誤解されている「損な魚たち」
適切な処理をすれば、評価が一変する魚たちがいます。
1. アイゴ(バリコ)
独特の磯臭さで敬遠されがちですが、釣り上げて即座に締め、内臓を出して持ち帰ってみてください。
もちもちとした白身は、高級魚に匹敵する旨さです。
2. ボラ
寒ボラは特に有名ですが、夏場であっても綺麗な海で釣って血抜きをしたボラは、真鯛以上の甘みを持つことがあります。
「泥臭い」というイメージは、生息環境と処理の悪さが原因です。
3. サンノジ(ニザダイ)
引きが強く釣り味は良いのに、リリースされる代表格です。
しかし、皮目の独特な匂いさえ気をつければ、脂の乗った極上の刺身になります。
これも、完璧な血抜きがあってこそです。
「美味しい魚」にするのは釣り人の腕次第
「美味しい魚」と「マズい魚」がいるのではありません。
「美味しく処理された魚」と「そうでない魚」がいるだけと言っても過言ではありません。
もちろん、魚種ごとの個性はあります。
しかし、その魚の最上の味を引き出せるのは、釣り場で誰よりも早くナイフを入れられる、釣り人だけの特権です。
釣れた魚の評価を決めるのは、魚図鑑ではなく、あなたの処置ひとつです。
これまで「外道」としてリリースしていた魚も、次は丁寧に締めて持ち帰ってみませんか? きっと、その隠された実力に驚くはずです。
釣太郎みなべ店では、活き締めに必要なナイフやピック、神経締めのワイヤーなども豊富に取り揃えています。
使い方がわからなければ、お気軽にスタッフまでお尋ねください。

