アオリイカには
「白い個体は美味い」
「赤い個体はよく引く」
「赤系は回遊、白系は居着き」
こんな話を一度は聞いたことがあると思います。
では。
これは本当に科学的な根拠がある話なのか。
それとも釣り人同士の経験談が独り歩きしているだけなのか。
結論から言うと。
両方、半分正解で、半分は誤解です。
そもそもアオリイカに「白系」「赤系」という種類は存在するのか
結論から言います。
生物学的に「白系アオリイカ」「赤系アオリイカ」という分類は存在しません。
学名はすべて同じ。
Sepioteuthis lessoniana
つまり。
遺伝的に別種・別系統ではありません。
ここはまず、はっきりさせておく必要があります。
では、なぜ見た目に「白い個体」「赤い個体」がいるのか
ここからが本題です。
アオリイカの体色は
色素胞(クロマトフォア)
反射層(イリドフォア)
光散乱層(ロイコフォア)
この3つの層で制御されています。
簡単に言うと。
・色を出す装置
・光を反射する装置
・白く見せる装置
これらを神経で瞬時に操作している生き物です。
「赤く見えるアオリイカ」の正体
赤系と呼ばれる個体は
・興奮状態
・捕食モード
・警戒状態
・活性が高い
こういった状態の時に
色素胞が大きく開いた状態です。
特に
・浅場
・日中
・捕食直前
この条件が重なると
赤茶色〜褐色に見えやすくなります。
つまり。
赤い=個体差ではなく「状態差」
ここが重要です。
「白く見えるアオリイカ」の正体
一方、白系と呼ばれる個体。
これは
・警戒が解けている
・省エネモード
・夜間
・深場
こういった条件で
反射層・白色層が優位に働いている状態です。
特に夜釣りで
「白いアオリイカが多い」と感じる理由は
ほぼこれです。
つまり。
白い=落ち着いた状態、または環境要因
です。
「赤系は回遊、白系は居着き説」は本当か?
これは釣り人の間で
かなり強く信じられている説です。
結論から言うと。
完全な間違いではないが、正確ではない。
理由を説明します。
回遊個体が「赤く見えやすい」理由
回遊しているアオリイカは
・泳ぎ続けている
・捕食スイッチが入りやすい
・警戒心が高い
つまり。
興奮状態になりやすい
その結果。
色素胞が開きやすく
「赤系」に見える確率が高い。
これが
「赤系=回遊」という印象を作っています。
居着き個体が「白く見えやすい」理由
居着き個体は
・縄張りが決まっている
・移動量が少ない
・省エネ傾向
結果として
色変化が少なく、白っぽく見えやすい
だから
「白系=居着き」
と感じやすい。
重要なポイント
ここで大事なのは。
赤系と白系は固定された性質ではない
ということです。
同じ個体でも
・時間帯
・水深
・光量
・捕食状況
これが変われば
普通に赤くも白くもなります。
科学的に証明されている事実
研究で分かっているのは
・アオリイカは体色を神経制御している
・体色変化は環境と心理状態の影響が大きい
・遺伝的な色固定は存在しない
つまり。
「系統」ではなく「可変表現」
これが科学的な結論です。
では、釣り人の話は全部デタラメなのか?
いいえ。
そうではありません。
釣り人の経験則は
・状態の違い
・行動パターン
・釣れるタイミング
これを
色という視覚情報で整理した結果です。
科学的に言えば
「分類が雑なだけで、観察は正しい」
と言えます。
釣りにどう活かすべきか
結論として
釣り人が意識すべきなのは
・白いか赤いか
ではなく
「今、そのイカはどんな状態か」
です。
・赤い → 活性高め、速い動きに反応
・白い → 警戒低め、違和感に敏感
こう考える方が
圧倒的に再現性があります。
要約
・アオリイカに白系・赤系という種は存在しない
・体色は神経制御による状態変化
・赤系=興奮・捕食・警戒
・白系=落ち着き・省エネ・夜間
・回遊/居着きの差は「状態差」が原因
・釣り人の話は半分正解
最後に
「白系が良い」「赤系が悪い」
そんな単純な話ではありません。
色は結果であって、原因ではない。
アオリイカを見る目が変わると
エギの動かし方も
アジの泳がせ方も
確実に変わります。
釣果を分けるのは
色ではなく
観察力です。

