南紀地方では、大潮時に最大で約2mもの干満差が発生します。
この数値自体は全国的に見ても特別珍しいわけではありません。
しかし問題なのは「潮位差」そのものではなく、干潮から満潮へ向かう潮の上がり方が非常に速いという点です。
特に、
・田辺 天神崎
・白浜周辺の低い地磯
・南部〜すさみの平坦磯
これらのエリアでは、
気付いた時には逃げ道がなくなっているという事故リスクが常に存在します。
この記事では、干潮から満潮までの潮位変化を「時間ごとの速度」で可視化し、
釣り人が現場で判断できる基準を解説します。
南紀の大潮は「どれくらい速く潮が上がる」のか
まず結論から言います。
南紀の大潮では、満潮前後2〜3時間で潮位が一気に1m以上上がることがあります。
これは「気付いたら足場が消える」速度です。
大潮時
干潮から満潮までの潮位上昇スピード一覧表
※干満差2.0mを想定したモデルケース
| 経過時間 | 潮位上昇量 | 体感イメージ |
|---|---|---|
| 干潮0時間 | 0cm | 磯が完全に露出 |
| 1時間後 | 約20cm | まだ余裕がある |
| 2時間後 | 約45cm | 足元が濡れ始める |
| 3時間後 | 約80cm | 低い磯は水没開始 |
| 4時間後 | 約120cm | 逃げ道が狭くなる |
| 5時間後 | 約160cm | 危険域 |
| 満潮 | 約200cm | 完全水没 |
※実際は「S字カーブ」で、満潮前に向かうほど一気に上昇速度が加速します。
なぜ南紀は「後半で一気に危険になる」のか
理由は3つあります。
黒潮の影響
南紀は黒潮の直撃エリアです。
潮汐エネルギーが非常に強く、後半の潮位変化が鋭くなります。
地形が低く平坦
天神崎に代表される南紀の磯は、「高さがない」「逃げ場がない」形状が多いです。
そのため、50cmの潮位変化が致命傷になるケースがあります。
波がなくても水位は上がる
「今日は凪だから大丈夫」これは最も危険な勘違いです。
潮位は波とは無関係に、静かに、確実に、逃げ道を消します。
特に危険な時間帯は「干潮から◯時間後」
南紀の場合、干潮から3時間を過ぎたあたりから危険度が急上昇します。
理由は、
・潮位上昇速度が加速する
・帰路が見えにくくなる
・集中力が落ちる時間帯
この3点が重なるためです。
天神崎で実際に起きやすいケース
・釣り開始は干潮直後
・釣果が出始める
・「もう少しだけ」と続行
・気付くと帰り道が水没
このパターンは非常に多く、事故の大半がこの流れです。
南紀の地磯で守るべき鉄則
・干潮から2時間以内を目安に撤退判断
・満潮時刻ではなく「干潮からの経過時間」で考える
・帰り道を必ず先に確認する
・潮位が50cm上がるとどうなるかを想像する
これだけで、事故リスクは大きく下げられます。
まとめ
南紀の大潮は「高さ」より「速さ」が危険
南紀地方の干満差2mは、数字だけ見れば全国でも特別ではありません。
しかし、干潮から一気に潮が走るスピードは全国屈指です。
特に天神崎のような低く平坦な磯では、「まだ大丈夫」が命取りになります。
釣果よりも、必ず帰れる判断を最優先にしてください。

