「クエ釣りの外道でとんでもない巨大魚が上がった!」 港どよめくその魚の正体は、
オオクチイシナギ(通称:イシナギ)。
20kg、時には100kgを超える巨体でありながら、市場での取引価格は、同じサイズのクエ(アラ)
に比べると「桁が一つ違う」ほど安いことがあります。
なぜこれほどの大型魚が、安値で取引されるのか?
そこには、この魚特有の**「危険な部位」と「流通の難しさ」**が関係していました。
イシナギの価格が「異常に安い」3つの理由
食べて美味しい白身魚であるにもかかわらず、なぜ安値がついてしまうのか。
その理由は主に3つあります。
1. 「肝臓」が猛毒で販売禁止だから
これが最大の理由です。
イシナギの肝臓には、致死量に近いほどの高濃度のビタミンAが含まれています。
「ビタミンなら体に良いのでは?」と思われがちですが、過剰摂取すると**「ビタミンA中毒」を引き起こします。
激しい頭痛、嘔吐、そして全身の皮膚がベロベロに剥がれ落ちるという恐ろしい症状が出ます。
そのため、食品衛生法で肝臓の販売・提供は禁止**されています。
「有毒部位を持つ巨大魚」という扱いづらさが、市場価値を下げている大きな要因です。
2. 巨大すぎて「一般家庭」では処理不能
23.5kgというサイズは、一般のスーパーや魚屋ではまず売れません。
まな板に乗らない、包丁が通らない、冷蔵庫に入らない。
結局、飲食店などの「専門業者」しか買い手がいないため、需要が限定され、競りでも値段が上がりきらないのです。
丸ごと一本で買うにはリスクが高すぎるため、安く買い叩かれがちな魚と言えます。
3. 「クエ」という絶対王者の存在
見た目はクエやハタに似ていますが、ブランド力には天と地の差があります。
クエは「幻の高級魚」として確固たる地位がありますが、イシナギは「クエの外道」や
「代用魚」としてのイメージが強く、知名度も低め。
味は非常に良いのですが、繊維質で少し筋肉質な食感が、「脂の乗ったクエ」と比較されると
一段低く見られてしまう傾向にあります。
イシナギってどんな魚? その驚きの生態
深海から浅場へやってくる巨大魚
普段は水深400m〜500mの深海に潜む深海魚です。
しかし、5月〜6月頃の産卵期になると、水深150m前後の浅場まで浮上してきます。
釣り人が遭遇するのは主にこの時期。
産卵のために荒食いをするため、泳がせ釣りやクエ釣りの仕掛けに食いついてきます。
幼魚と成魚で「柄」が変わる
幼魚のうちは体に白い縦縞(タテジマ)が入っていますが、成長すると縞模様が消え、全身が灰黒色になります。
老成魚になると、岩のようなゴツゴツした風貌になり、まさに「海の主」の風格を漂わせます。
気になるそのお味は?
「安いからマズイ」わけではありません。むしろ絶品です。
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身の質: クセのない綺麗な白身。
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食感: 筋肉質でしっかりしており、加熱すると**「鶏肉」**のような食感になります。フライや唐揚げにすると「まるでケンタッキー!」と評されるほど。
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食べ方: 刺身はもちろん、鍋、フライ、味噌漬けなど、どんな料理にも合います。
「肝臓さえ食べなければ」、非常にコストパフォーマンスの高い美味しい魚なのです。
まとめ
23.5kgのイシナギが安い理由は、**「肝臓の毒による規制」と「巨大すぎて一般流通に
乗りにくい」**という事情があるからでした。
しかし、その味は本物。
もし安く手に入る機会があれば、肝臓を確実に除去する知識を持った上で、大人数での
「イシナギパーティー」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
このサイズなら、50人前の唐揚げができそうですね!
100キロを超えることもある巨大魚オオクチイシナギ(通称:イシナギ)には歯がない。


