「エギングなら投げてシャクるだけなのに、ヤエンはアジを管理して、寄せて、投入して…正直面倒くさい」
これからヤエン釣りを始めようとする方から、よくこんな声を聞きます。
しかし、断言します。その「面倒なやり取り」こそが、アオリイカを釣るための最大の武器です。
特に春の大型や、エギに見向きもしないスレた天才イカに対して、ヤエン釣りほど理にかなった釣法はありません。
なぜ「手間」をかけると釣れるのか?今回はそのメカニズムを解説します。
理由1:「針がない」から、イカが安心しきっている
エギングやウキ釣りの仕掛けには、最初から「針(カンナや掛け針)」が付いています。
イカは触腕を伸ばした瞬間、あるいは抱きついた瞬間に「硬い針の違和感」や
「ラインのテンション」を感じると、瞬時にエサを離してしまいます。
ヤエン釣りの最大の特異性は、最初は「針がない」ことです。
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アジを抱く:針がないので、イカは「ただの美味しいアジ」だと思い込みます。
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夢中で食べる:違和感がないため、イカは警戒心を解き、夢中でアジをかじり始めます(居食い)。
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寄せられる:食事に夢中になっているため、釣り人がリールを巻いて寄せても「エサを引っ張られているだけ」と勘違いして、離そうとしません。
この**「イカを完全に油断させる時間(やり取りの時間)」**を作れるのがヤエン釣りだけなのです。
面倒なやり取りは、イカを麻痺させるための罠なのです。
理由2:活きアジの「自発的アクション」は最強の誘い
ルアー(エギ)は人間が操作しないと動きませんが、活きアジは勝手に動きます。
しかも、ただ泳ぐだけではありません。
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捕食者の気配を察知して暴れる
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イカに見つかってパニックになる動き
この**「生命の危機を感じたエサの振動」**は、アオリイカの本能を強烈に刺激します。
どんなに上手なエギンガーがアクションさせても、本物の魚が発する「死の恐怖のバイブレーション」は再現できません。
「そこにアジを泳がせておくだけ」で、最高レベルの誘いが自動的に行われているのです。
理由3:大型ほど「横抱き」の時間が長い
キロアップ、2kg、3kgといった大型のアオリイカほど、獲物を捕らえた後に安全な場所まで移動し、時間をかけて食べる習性があります。
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即合わせが必要な釣り:抱いた瞬間に合わせないと掛からない釣りでは、移動中に外れてしまうことが多いです。
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ヤエン釣り:イカが安心して移動し、止まって食べ始めるまで「待つ」ことができます。
「待つ時間が長い」「やり取りがじれったい」と感じるその時間は、大型イカがアジをしっかり抱き込み、逃げられない状態になるまでの準備時間です。
この「間」を作れるからこそ、モンスタークラスの捕獲率が圧倒的に高いのです。
ヤエンの「面倒くささ」は「ゲーム性」である
ヤエン釣りの面白さは、この「イカとの駆け引き」に尽きます。
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アジを抱いた時の重量感(ドキドキ)
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イカが警戒して走る時のドラグ音(ハラハラ)
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慎重に寄せ、最後にヤエンを投入してフッキングが決まった瞬間の達成感
これは、ただ投げて釣るだけの釣りでは味わえない、濃厚な狩猟本能を刺激するプロセスです。
「面倒くさい」と感じる手順の一つ一つが、実はイカを確実に追い詰めるためのステップなのです。
まとめ:その「一手間」が釣果を分ける
ヤエン釣りは確かに手数が多く、技術も必要です。
しかし、その面倒な手順を踏むからこそ、**「エギでは絶対に釣れないイカ」**を手にすることができます。
「針が付いていないエサを抱かせ、手元まで寄せてから、道具(ヤエン)を送り込んで掛ける」
このスリリングなやり取りを一度体験すれば、その「面倒くささ」が「最高の面白さ」に変わるはずです。

