「キタ!」と思った瞬間、ガイドに絡まるライン。
キャストした瞬間、リールから「バサッ」と放出されるラインの束。
高価なPEラインが、風とヨレでぐちゃぐちゃの団子になる……。
釣り人にとって、魚が釣れないこと以上に不快で、心を折ってくるもの。
それが**「糸ヨレ(ラインツイスト)」と、そこから派生する「ライン絡み(トラブル)」**です。
時合(じあい)の真っ只中にこのトラブルが起きると、大切な時間をロスするだけでなく、その日の釣りを諦めたくなるほどのストレスがかかります。
なぜ、糸ヨレは起きてしまうのか?
そして、どうすればこの最大の敵から逃れられるのか?
この記事では、糸ヨレが発生する「根本的な原因」と、今日から実践できる「完璧な対策」を、
初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
1. なぜ? 悪夢の「糸ヨレ」が発生する4つの原因
糸ヨレは、ライン(釣り糸)が「ねじれる」ことで発生します。
このねじれが蓄積すると、ラインが元のまっすぐな状態に戻ろうとする力で、ループ(輪)ができやすくなり、リールやガイドに絡みつきます。
この「ねじれ」を生み出す犯人は、主に以下の4つです。
原因①:【宿命】スピニングリールの構造
実は、スピニングリールは「使っているだけでヨレる」構造をしています。
- キャスト時(放出): ラインはスプールから「らせん状」に放出されます。
- リトリーブ時(回収): ラインはベール(ラインローラー)を介して「90度向きを変え」、スプールに「巻き付いて」いきます。
この「らせん状に出ていき、直線で巻き取られる」という動作のズレが、1キャストごとに少しずつラインに「ねじれ(ヨレ)」を蓄積させていきます。
これはスピニングリールの宿命であり、避けられません。
原因②:【技術】テンションが抜けた「空巻き」
糸ヨレを急速に悪化させる最大の原因が**「ラインテンションが緩んだ状態での巻き取り」**です。
- ルアーが着水する前にベールを返す
- 軽い仕掛け(ジグヘッドなど)が沈んでいく(フォール中)のにリールを巻く
- ルアーを激しく動かした後(トゥイッチなど)の「糸ふけ(スラック)」を、たるんだまま巻き取る
これら「空巻き」をすると、ラインはスプールにフワフワと緩く巻かれます。
この「緩んだ部分」が、次回のキャストでスプールから束になって飛び出し、ガイド絡みやバックラッシュ(通称:ダマ)を引き起こします。
原因③:【道具】ルアーや仕掛けの「回転」
リトリーブ(巻き取り)中に、ルアーや仕掛けが**「クルクルと回転」**していませんか?
これがヨレの直接的な原因になることは非常に多いです。
- スプーン、スピナー(ブレード系ルアー)
- 回転しやすい形状のエギ
- 流されてバランスを崩した天秤仕掛け
- エサが曲がって付いている(回転の原因)
これらが回転することで、リールが巻き取るライン自体に「ねじれ」を強制的にかけてしまいます。
原因④:【準備】新品ラインの巻き方ミス
意外な盲点が、リールに**新品のラインを巻く(糸巻き)**時です。
ラインのボビン(スプール)を床に置き、ラインが「らせん状」に出る状態で巻き取っていませんか?
スピニングリールに正しく巻くには、ボビンから出るラインの「向き」と、リールが巻き取る「向き」を合わせる必要があります。
これを間違えると、新品のラインを巻いた瞬間から、すでに「強烈なヨレ」が仕込まれた状態になってしまいます。
2. もう悩まない!「糸ヨレ」を激減させる5つの完璧な対策
原因がわかれば、対策は可能です。
以下の対策を組み合わせることで、糸ヨレのストレスは劇的に減らせます。
対策①:【技術編】常に「テンション」を意識する
糸ヨレ対策の基本は**「常にラインを張った状態(テンション)で巻く」**ことです。
- フェザリング: キャスト後、ルアーが着水する直前に、人差し指でスプールエッジに軽く触れ、ラインの放出にブレーキをかけます。これにより、着水と同時に糸ふけがピンと張り、空巻きを防げます。これは最も重要なテクニックです。
- 巻き始めの確認: 着水後、ベールを返す前に、ロッド(竿)を少しあおって糸ふけを取り、ラインが張った状態から巻き始めます。
対策②:【道具編】「ヨリモドシ(スイベル)」を導入する
原因③(ルアーの回転)に対する最強の解決策が**「ヨリモドシ(スイベル)」**です。
これは、ラインと仕掛けの間で回転し、ライン本体にヨレが伝わるのを防ぐ金具です。
- PEラインとリーダーの間に入れる
- 回転するルアー(スプーンなど)の直前に入れる
特に、エギングやルアーフィッシングでは、「スイベル付きスナップ」や「ボールベアリングスイベル」など、高品質で回転性能の高いものを選ぶと効果が絶大です。
「こんなもので釣果は変わらない」とケチらず、良いものを選びましょう。
対策③:【機材編】ラインローラーの「点検」と「注油」
スピニングリールの「ラインローラー」(ベールアームの付け根にある、ラインが通る部分)がスムーズに回転していますか?
ここが潮ガミ(塩の結晶)や汚れで固着して回らないと、ラインはローラーの上を「滑る」ことになり、強烈な摩擦とヨレが発生します。
釣行後は必ず真水で洗い、定期的に専用のオイルで注油してください。
対策④:【準備編】正しい「ラインの巻き方」と「巻き量」
- 正しい巻き方: 新品ラインを巻くときは、ボビンの「ラベルが上」になるように置き、ラインが**「反時計回り」**に出るようにして巻き取ります。(※リールの巻き方向によって異なる場合もありますが、これが基本です)
- 適正な巻き量: ラインを「巻きすぎ」ると、スプールから溢れやすくなり、トラブルの元です。スプールのエッジ(ふち)よりも1〜2mm少ない「8〜9分目」が最適です。
対策⑤:【解消法】発生したヨレを「リセット」する裏ワザ
すでにヨレてしまったラインは、リセット(ヨレ抜き)することができます。
- 船釣りの場合(一番効果的): 釣りが終わった後、オモリだけを付けた状態で、船を走らせながらラインをすべて(または大半を)放出します。水の抵抗でラインがまっすぐになり、その状態で巻き取るとヨレがリセットされます。
- 陸っぱりの場合: 広い場所(堤防や河川敷)で、ルアーやオモリを外し、「ヨリモドシ」だけを結びます。
- それを遠投し、ヨリモドシが水の抵抗を受けるのを感じながら、ゆっくりとテンションをかけて巻き取ります。
- これを数回繰り返すだけで、蓄積したヨレがかなり解消されます。
3. まとめ:糸ヨレを制する者が釣りを制す
糸ヨレは、釣りのリズムを崩し、集中力を奪う最大の敵です。
しかし、その原因は「リールの構造」「緩んだ巻き取り」「仕掛けの回転」にはっきりしています。
- キャスト時は必ずフェザリング
- 回転する仕掛けにはヨリモドシを
- ラインローラーのメンテナンスを怠らない
これらの基本的な対策を徹底するだけで、あなたの釣りは「トラブルの釣り」から「魚と向き合う釣り」へと変わります。
ストレスフリーな釣りのために、今日から「糸ヨレ対策」を始めてみてください。

