アカジャコ「ネンブツダイ」は何の魚の仲間?

① 分類上の「なかま」について

ネンブツダイは
魚類学的には次のように分類されます。

・硬骨魚綱
・スズキ目
・テンジクダイ科
・ネンブツダイの仲間

スズキ目というのは
スズキ・メバル・クロダイ・カサゴ・アジ類など
沿岸でよく見る海水魚の大所帯のグループです。

その中の「テンジクダイ科」に入るのが
ネンブツダイ・クロホシイシモチ・スカシテンジクダイなどの仲間です。

テンジクダイ科の特徴は
・体が比較的小さく
・目が大きく
・口も大きく
・夜行性のものが多く
・オスが卵を口の中で守る「口内保育」をする
という独特のライフスタイルを持つ魚たちです。


② 体つきと見た目の特徴

ネンブツダイそのものの特徴を整理すると
だいたいこんな感じです。

・全長
 成魚で 8〜10cm 前後
 最大でも 12cm くらいの小型魚。

・体型
 やや側扁した細長い体で
 いかにも「群れで泳ぐ小魚」というシルエット。

・色
 半透明がかった淡い黄褐色〜オレンジ色の体。
 体側にうっすらと銀色の縦帯や模様が入り
 光が当たるとキラキラ光る。

・目
 夜行性らしく目が大きい。
 暗いところでの視力に適応したつくり。

・口
 頭に対してかなり大きく
 一見「こんな大口で何を食べてるの?」という印象を受ける。

この「大きな目と大きな口」「半透明の小魚」というセットが
テンジクダイ科らしい形です。


③ どこに住んでいる魚?

ネンブツダイは
日本ではかなり身近な海の小魚です。

・生息域
 北海道南部以南〜琉球列島まで
 広く分布。

・水深
 浅場の防波堤周りから水深 20〜30m くらいの岩礁帯まで。

・環境
 岩礁帯・テトラ周り・防波堤の足元など
 「障害物がある場所」に群れでつく。

・行動パターン
 日中は岩陰やテトラの影などに固まってじっとしていることが多い。
 夕方〜夜になると群れでフワ〜っと中層に浮いてエサを探す。

「防波堤の足元をライトで照らしたら
小さな魚がびっしり群れていた」
そんな時の正体の一つがネンブツダイです。


④ 何を食べている?(食性)

ネンブツダイは
基本的に肉食性の小魚です。

・プランクトン
・小型の甲殻類(オキアミや小エビ類)
・極小の小魚
こういったものを口に入るサイズでパクパク捕食します。

夜行性なので
暗くなってから中層〜表層に浮いてきて
潮に乗って流れてくるエサを効率よく拾っているイメージです。


⑤ ネンブツダイ最大の特徴「口内保育」

テンジクダイ科の代表的な習性が
オスによる口内保育です。

ネンブツダイも同じで
・メスが卵を産む
・それをオスがパクっと口にくわえる
・卵が孵化するまで口の中で守り続ける
というとても献身的な子育てをします。

ここがポイントです。

・オスは卵をくわえている間
 ほぼエサを食べられない。
・外敵に襲われても
 卵を吐き出さないように行動が慎重になる。

つまりオスにとっては
命がけの子育てです。

釣り人からすると
「テンジクダイ科は口の中に卵を持っていることがある」
と知っておくだけで
夏〜初秋に釣った個体を観察する楽しみが増えます。


⑥ 釣り人から見たネンブツダイ

現場では
ネンブツダイはこんなポジションで見られることが多いです。

エサ取りとしてのネンブツダイ

・フカセ釣りやサビキ釣りで
 仕掛けを足元に落とすと
 ワラワラと群がってくる小魚。

・オキアミや小さなエサを
 あっという間に突いてボロボロにする。

そのため
グレ釣りやチヌ釣り師からすると
「エサ取りの代表格」の一つという扱いになりがちです。

実はちゃんと食べられる魚

ただし
ネンブツダイ自体は食味が悪いわけではありません。

・身は白身で淡泊
・小骨も細く
 処理してしまえば食べやすい

おすすめの料理法は
・唐揚げ
・南蛮漬け
です。

小魚なので
内臓だけ取って丸ごと揚げてしまうと
骨ごとバリバリ食べられます。

「どうせ捨てるし…」と思ってしまいがちですが
数がまとまって釣れた時は
南蛮漬けにするとかなり優秀なおかずになります。


⑦ 似た魚との違い

防波堤でネンブツダイと一緒に出てきやすいのが
クロホシイシモチなどのテンジクダイ科の仲間です。

・ネンブツダイ
 体に細かい縦模様や帯が入り
 全体にややスッキリした印象。

・クロホシイシモチ
 体側に「黒い丸い斑点」が入る。
 (だから“黒星”)

同じテンジクダイ科なので
形や生態はよく似ています。
分類上もほぼ「いとこ」のような関係です。


⑧ 名前「ネンブツダイ」の由来(諸説あり)

名前の由来にはいくつか説があります。

・たくさんのネンブツダイが群れている様子が
 念仏を唱える人の群れのようだ。

・串にズラッと刺して干した姿が
 数珠や念仏の beads のように見えた。

・口をパクパク動かす様子が
 念仏を唱えているように見えた。

いずれも「念仏を唱える僧侶」のイメージから来ていて
そこに「鯛」をつけて「ネンブツダイ」と呼ばれるようになったと言われます。


⑨ まとめ

・ネンブツダイは
 スズキ目テンジクダイ科の小型魚で
 スズキの親戚筋にあたる魚。

・大きな目と大きな口
 半透明っぽい体が特徴で
 浅場の岩礁や防波堤まわりに群れで棲んでいる。

・夜行性で
 プランクトンや小さな甲殻類・小魚を食べる。

・オスが卵を口の中で守る「口内保育」を行う
 ユニークな子育てスタイルを持つ。

・釣りではエサ取りとして嫌われがちだが
 唐揚げや南蛮漬けにすると
 普通に美味しく食べられる白身魚。

・クロホシイシモチなど
 他のテンジクダイ科と一緒に群れていることも多く
 防波堤の足元の「小魚の群れ」の代表格のひとつ。

タイトルとURLをコピーしました