最初に
アオリイカは「春に産卵する」と言われますが、近年はそのタイミングが明らかにずれてきています。
南紀(和歌山県南部)では、黒潮の温暖化や海水温の上昇により、春だけでなく初夏・秋・
冬までも産卵個体が見られるようになりました。
本記事では、**年間を100%とした月別の産卵割合(南紀版)**をもとに、
釣り人が知っておくべき「季節のずれ」と「釣果への影響」を詳しく解説します。
アオリイカ産卵の基本サイクル
本来、アオリイカの産卵期は以下のように集中していました。
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春型アオリイカ(外洋性):4〜6月に浅場で産卵
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秋型アオリイカ(居着き・沿岸性):9〜10月に局所的産卵
しかし、近年は黒潮の影響で海水温が年間を通して高く、春〜秋にかけて産卵が分散。
さらに、冬でも卵が確認される例もあり、「通年型産卵」が現実となっています。
南紀の月別アオリイカ産卵率(年間100%換算)
| 月 | 産卵割合(%) | 備考 |
|---|---|---|
| 1月 | 2% | 黒潮が接岸し水温が高い年のみ産卵確認 |
| 2月 | 3% | 極めて少数、沿岸の温水域限定 |
| 3月 | 6% | 早い年は浅場で産卵行動開始 |
| 4月 | 14% | 春の本格産卵期スタート |
| 5月 | 18% | 最盛期、浅場の藻場に産卵ラッシュ |
| 6月 | 16% | 水温安定期、ペアでの行動多い |
| 7月 | 10% | 晩産卵群、外洋型が中心 |
| 8月 | 8% | 水温上昇ピークで一時的に減少 |
| 9月 | 9% | 秋型(居着き)の産卵始まる |
| 10月 | 8% | 小型親が沿岸で産卵継続 |
| 11月 | 4% | 暖冬年に産卵確認あり |
| 12月 | 2% | 稀に深場で確認、低水温年はゼロ |
🟦 合計:100%(南紀版アオリイカ産卵分布)
近年の傾向|春から「通年型」へ
南紀エリアでは、ここ10年で春産卵の割合が減少し、秋と冬が増加傾向にあります。
かつては4〜6月で全体の7割を占めていましたが、今では約5割程度。
原因としては以下が挙げられます。
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黒潮の蛇行による水温の遅れ・停滞
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台風時期の藻場破壊で産卵環境が変化
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沿岸の藻類減少と代わりに深場への移行
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温暖化による「年内高水温」の持続
結果として、アオリイカは年に2回以上の産卵機会を持つ個体も存在し、
「春→夏」「秋→冬」といった変則的なリズムが定着しています。
釣り人目線でのポイント
釣りの現場でも、この産卵のずれははっきり表れています。
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3月下旬でも浅場にペアが出現する年がある
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7月でもまだ抱卵メスが釣れる
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10月以降に新子ではなく「小型親」が混じる
つまり、季節カレンダーよりも水温カレンダーを意識するのが正解です。
水温目安と行動傾向
| 水温 | 行動 |
|---|---|
| 15℃以下 | 休眠・深場で待機 |
| 17〜19℃ | 活動開始・ペア形成 |
| 20〜23℃ | 産卵ピーク |
| 24〜26℃ | 産卵後・体力消耗期 |
| 27℃以上 | 活動鈍化・深場回避行動 |
南紀での釣行アドバイス
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春(4〜6月):大型狙いの最盛期。産卵床を意識したポイント選びを。
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夏(7〜8月):深場回遊型をヤエンや泳がせで狙う。
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秋(9〜11月):新子・小型親混在。エギングで数釣りチャンス。
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冬(12〜2月):産卵残留個体や居着き狙い。外洋寄りの深場で実績。
まとめ
かつて「春の風物詩」だったアオリイカの産卵。
しかし南紀では、黒潮と気候変動の影響により、ほぼ通年で産卵が見られる時代になりました。
春イカも秋イカも、もはや明確な区切りはなく、
「水温20℃前後」こそが狙い時です。
釣り人にとってはシーズンが広がり、チャンスも倍増。
海を読む力が、これからのアオリイカ釣りの鍵になるでしょう。
要約
南紀ではアオリイカの産卵期が「春限定」から「通年型」へ変化。
春5月をピークに、秋や冬にも産卵が見られる。
年間100%換算では、4〜6月が約50%、残りの50%は夏〜冬に分散。
水温20℃前後が活動ピークで、釣果チャンスも広がっている。


