1.資源量の減少と国際規制の強化
・オキアミは南極海を中心に生息しており、漁獲可能な海域は南極半島周辺、スコシア海、ウェッデル海など限られたエリアに集中しています。
・漁獲は南極海洋生物資源保存条約(CCAMLR)によって管理され、年間漁獲枠(TAC)が厳格に設定されています。
・近年、南極周辺の海氷面積が減少し、オキアミの餌となる植物プランクトンの発生パターンが変動。
・その結果、オキアミ資源の再生産に不確実性が生じ、科学者からも「資源の長期安定供給にリスクがある」と指摘されています。
・資源保護を優先して漁獲量を抑える方向に動くと、当然市場に出回る量は減り、価格は上昇します。
2.世界的需要の急拡大
・従来、オキアミは日本や韓国などの釣りエサ・養殖用飼料として利用されてきましたが、近年は人間用の食品・サプリメントとして需要が急増。
・特に「クリルオイル(オキアミオイル)」は、DHA・EPA・アスタキサンチンを豊富に含む抗酸化・血流改善サプリとして欧米や中国市場で人気が爆発しています。
・中国や東南アジアでは、養殖魚(サーモン・エビ・ハタなど)の成長促進や栄養強化のため、オキアミを混ぜた高栄養飼料の需要が高まっています。
・結果として、釣りエサ市場に回るオキアミが減り、釣具店向けの価格も連動して高騰しています。
3.漁獲コストと物流費の上昇
・オキアミ漁は南極海という極地で行われ、漁船は大型の冷凍設備を備えた専用船が必要です。
・船舶燃料の国際価格高騰、冷凍保存に必要な電力費、長距離輸送費などが年々上昇しています。
・オキアミは漁獲後すぐにマイナス20℃以下で急速冷凍しないと劣化が早く、**冷凍コンテナ(リーファーコンテナ)**の確保が必須です。
・近年は世界的な物流網の混乱(パンデミック後のコンテナ不足・輸送費高騰)も重なり、1トンあたりの輸送コストが数割上がっています。
・円安が進む日本では、輸入代金がさらに割高となり、小売価格に直結しています。
4.環境要因と漁期の短さ
・オキアミ漁は南極海の**夏季(12月~3月)**に限られます。
・天候が荒れやすく、海氷の状態次第で操業日数が短縮される年も多く、漁獲量の変動が激しいのが特徴です。
・ある年に不漁が発生すると翌年に在庫が枯渇し、価格が急騰する「サイクル」が起こりやすい構造です。
5.日本国内市場への影響
・日本ではサビキ釣りやフカセ釣りに欠かせない生オキアミ(生沖アミ)の価格が、近年じわじわと上昇しています。
・特に生沖アミ(生餌用)>ボイル沖アミ(加工済)>レンガ状ブロックの順で高値が目立ち、2020年以降は年5~10%単位の値上げが続いている地域もあります。
・加工コストや冷凍保管費も上がっており、釣具店では仕入れ価格の上昇をそのまま販売価格に転嫁せざるを得ない状況です。
6.将来予測と釣り人へのアドバイス
・国際的には資源保護の観点から、漁獲枠のさらなる削減が検討されており、今後も価格の下落は期待しにくい見通しです。
・釣り人にとってはエサ代の負担増が避けられず、代替エサや節約術が重要になります。
コスト対策の具体例
・アミエビをブレンドした自作コマセでオキアミ使用量を減らす
・加工オキアミ(フレーク状)を使用して冷凍保管を効率化
・釣行回数に合わせた小分け購入で廃棄ロスを防ぐ
・地元産の生エサ(シラス、カタクチイワシ、カニなど)を状況に応じて活用
まとめ
オキアミ価格高騰は
「資源の不安定化 × 世界的需要増 × 漁獲・輸送コスト上昇」
という三重の要因が同時進行している構造的問題です。
短期的に価格が下がる可能性は低く、釣り業界・養殖業界・サプリ市場の「取り合い」が続く限り、長期的な高値圏が常態化する可能性があります。
釣り人にとっては痛い状況ですが、代替エサの活用や冷凍保存技術の向上が今後のカギとなるでしょう。


