紀伊半島の沖合を流れる黒潮。
この巨大な海流が沿岸に近づく年、和歌山の海は「豊穣の海」へと姿を変え、極上の魚たちが水揚げされます。
この記事では、黒潮がもたらす海の好循環と、魚が驚くほど美味しくなる秘密を徹底解説します。
黒潮回帰が魚を美味しくするメカニズム
黒潮が沿岸に接近すると、深海の栄養塩が表層に湧き上がります。
この現象が、魚の美味しさを決める好循環の始まりです。
- プランクトンの大増殖: 栄養塩は、海の食物連鎖の土台となる植物プランクトンの「ごちそう」です。栄養塩が豊富になると、植物プランクトンが爆発的に増え、それを食べる動物プランクトンも増殖します。
- 小魚が丸々と肥える: 豊富になったプランクトンを、イワシやサバ、アジなどの小魚たちが大量に食べます。これにより、小魚たちは十分な栄養を摂取し、丸々と太ります。
- 大型魚の脂乗りがアップ: 最後に、カツオやマグロ、ブリといった大型魚が、この脂の乗った小魚を捕食します。この結果、大型魚の身にもたっぷりと脂が乗り、平年比で15〜25%も脂のりがアップすると言われています。
この一連の好循環が、紀伊半島の魚を格別な味に仕上げているのです。
黒潮回帰の影響を受ける魚と受けない魚
黒潮がもたらす恩恵は、全ての魚が等しく受けるわけではありません。
- 影響を受ける魚(回遊性の魚、暖水を好む魚)
- カツオ
- マグロ(キハダマグロ、メバチマグロなど)
- ブリ
- シイラ
- イサキ
これらの魚は、黒潮の流れに乗って移動するため、回帰による海洋環境の変化が漁獲量や脂の乗り具合に直接影響します。
- 影響を受けない魚(沿岸に定着する魚)
- アユ
- マダイ
- アオリイカ
- ヒラメ
- カサゴ
これらの魚は、回遊性が低く、主に沿岸域で生活しているため、黒潮の大きな流れの影響はほとんど受けません。


