今回は「南紀地方におけるブリ釣りと北西風の関係」について、釣行現場の体験を交えながら徹底的に解説します。
紀南(南紀)は本州最南端に位置する温暖なエリア。
黒潮の影響を強く受けるため、冬になると 寒ブリ が接岸し、磯や堤防からも大物が狙える日本屈指のフィールドです。
しかし、多くの釣り人が口にするのが「北西風」。
「風が強いと釣りにならない」と敬遠する人がいる一方で、ベテランは「北西風が吹いたらブリが動く」と話します。
果たして実際はどうなのか?
この記事では、なぜ北西風8mがブリ釣果に直結するのか、その科学的根拠と実際の釣果傾向を詳しく解説していきます。
◆ 北西風とブリの関係を科学的に解説
① 海水の循環が生まれる
北西風が強まると、表層の海水は沖に押し流されます。
その結果、海底から冷たく酸素を含む海水が湧き上がり、海全体がかき混ぜられる状態に。
この「海水の循環」が起こるとプランクトンが浮遊しやすくなり、それを追ってイワシやアジといったベイトが動き出します。
ブリはその動きを敏感に察知し、捕食スイッチが入るのです。
② ベイトが接岸する
北西風は波を伴ってベイトの群れを湾内や漁港内に押し込むことがあります。
堤防の内側でもブリがヒットするのは、この気象条件が重なったとき。
「普段は青物の気配がない場所で突然釣れる」ことがあるのは、まさにこの現象の結果といえます。
③ 気圧変化と連動
北西風8m前後は冬型の気圧配置が強まった証拠。
気圧の変化は魚の代謝や行動に大きく影響を与えます。
特に青物は低気圧接近や急な気圧変化に合わせて活性が急上昇し、「荒食い」状態に入ることが多いのです。
◆ 釣行実体験:北西風8mの寒ブリ釣り
ここで筆者の実体験をひとつ紹介します。
■ 白浜・日置の地磯での釣行
1月中旬、気象予報は「北西風7〜8m」。
普通なら多くの釣り人が敬遠する状況でしたが、あえて日置の地磯に出向きました。
海は白波が立ち、足元にもしぶきがかかる状態。
しかし、沖では鳥山が立ち、イワシの群れが水面近くで乱れていました。
ルアーは重めのメタルジグ60gを選択。
向かい風で飛距離は落ちましたが、潮目に通した瞬間「ガツン!」と強烈なアタリ。
ドラグが一気に鳴り、磯際で何度も突っ込まれながらも、ようやく寄せたのは 92cmの寒ブリ。
強風で釣りにくい状況でしたが、まさに「北西風がブリを呼んだ」釣果でした。
◆ エリアごとの攻略法
【みなべエリア】
・堤防や漁港が多くファミリー釣り向き。
・北西風8mでは外向きは厳しいが、堺漁港ドッグ側や漁港内の風裏なら釣行可能。
・サビキで釣ったアジをそのまま泳がせてブリを狙える。
【白浜エリア】
・磯釣りのメッカ。北西風でブリの接岸率がアップ。
・日置や伊古木の磯は特に実績大。
・ルアーだけでなく遠投カゴ釣りでもブリが掛かる。
【すさみエリア】
・渡船で沖磯に渡る釣り人が多い。
・北西風8m以上で青物の回遊が増える。
・ジギング・泳がせ・カゴ釣り、どの釣法でも大型実績あり。
【串本エリア】
・黒潮の影響で安定して青物が狙える。
・北西風でも地形的に釣りやすい場所が多い。
・ただしブリは潮流に依存するため、潮の速さと色を見極める必要あり。
◆ 北西風8mと釣り方の相性
・ルアー釣り
メタルジグや重めのダイビングペンシルを使用。
風に負けない遠投力と操作性がカギ。
・カゴ釣り
波気があるとマキエが効きやすく、青物が寄る確率が高い。
ただし浮力のあるウキと強靭なタックル必須。
・泳がせ釣り(のませ釣り)
活きアジが暴れるほど、ブリの捕食本能を刺激する。
北西風8m時は特にチャンスが増える。
◆ 北西風下での安全対策
釣果が期待できる一方で、危険も増すのが北西風釣行。
・ライフジャケット必須
・スパイクブーツや滑り止め付きシューズを着用
・無理に外洋側に立たず、風裏を選ぶ
・釣行は単独ではなく複数人で
命を守るための安全対策は最優先。
◆ 北西風と釣果の数値的目安
・北西風 5〜6m → 活性中程度、釣りやすさ残る
・北西風 7〜8m → 活性大幅アップ、最も狙い目
・北西風 9〜10m → 活性は高いが危険度急上昇
・北西風 11m以上 → 釣果は期待できても、釣りは推奨されない
◆ まとめ
南紀地方で「北西風8m」という条件は、ブリ釣りにおいて間違いなくプラス要因です。
・海がかき混ぜられベイトが動く
・ブリの活性が高まる
・普段は釣れない場所でもチャンスがある
ただし安全面とのバランスが重要。
風裏ポイントを活用し、無理をせず安全に釣行することが大前提です。
北西風を「釣りにならない日」と考えるのではなく、「寒ブリのチャンス日」と捉えることで、釣果は大きく変わります。


